研修医の確認不足による、てんかん大発作を起こした患者への薬剤過剰投与

ヒヤリ・ハット事例

公開日:2023.12.21

研修医の確認不足による、てんかん大発作を起こした患者への薬剤過剰投与

「1件の重大な事故の背景には29件の軽微な事故があり、さらにその背景には300件のヒヤリ・ハットがある」というハインリッヒの法則をご存知でしょうか。

この「ヒヤリ・ハット事例」特集では、実際に起こった事例をご紹介します。原因や対策を知ることで学びの一助としていただくほか、記事の最後には事故を未然に防ぐための参考となるようなお役立ち情報も添えております。日々の診療のヒントとして、ぜひお役立てください。

(事例の出典:日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業



研修医の確認不足による、てんかん大発作を起こした患者への薬剤過剰投与

<この事例から学べること>

ベットサイドに用意されている薬剤であっても、種類や濃度・分量が指示簿の内容と合っているかを必ず確認し、他者とも声を掛け合う。

事例概要

※以降、一部表記を除き原文ママ

患者概要

患者 40歳代女性
疾患名:てんかん
影響度
当事者 医師

事例の内容

午前4時50分、患者がてんかん大発作を起こしたため、当直研修医が呼ばれた。病室訪問時、発作はまだ持続していた。
患者カルテの指示簿に発作時ホリゾン0.5 A投与とあった。
ベッドにはシリンジに1 Aのホリゾンが用意してあったが、当事者はそのシリンジ全量がホリゾン0.5 A分だと思い込み、シリンジ半筒投与のところを誤って1筒投与してしまった。投与後、空になったシリンジを見た看護師が過剰投与に気づいた。

患者はてんかん発作がおさまった以外に変化はなく、過剰投与に対して特別な処置はおこなわなかった。

背景要因

  • 投与量の確認を怠った。ベッドサイドに用意してあったシリンジ内の量を指示簿の量だと思い込んでしまった。他者にも確認をとるべきであった。

改善策

  • 薬剤投与前に量の確認をする。他者と声掛けにて確認を。
  • また、あらかじめ用意するのは指示簿に記載された量のみにしておく。


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