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いまを生きる医師に必要な、医師同士・他職種とのコミュニケーションについてお送りする連載企画。今日は、前田陽平先生によるご執筆の3本目です。
執筆者:前田 陽平
前回はなぜコミュニケーションエラーが起こるのかと、起こさないための注意点について、日ごろ心がけていることをお話しました。
今回、ご紹介しておきたいのが「Team STEPPS®」(チームステップス)です。私も最近まで知らなかった概念ですが、以前に医療安全の講義で知って目からウロコが落ちる思いでした。今回はこれについて掘り下げます。
Team STEPPS®とは
Team STEPPS®はTeam Strategies and Tools to Enhance Performance and Patient Safetyの略で、和訳すると「医療のパフォーマンスと患者安全を高めるためのチーム戦略と方法」です。この直訳通り医療のパフォーマンスと患者安全のためのもので、米国で提唱されました。リーダーシップ、状況モニタリング、相互支援、コミュニケーションという4つの技能を実践することで、医療安全、医療の質のいずれも高めようという内容です。
4つの技能をざっくり説明すると、以下の通りです。
リーダーシップ | チーム全体のリソースを考えて仕事の割り振りなどを行い、チームのパフォーマンスが最高になるようにする能力 |
---|---|
状況モニタリング | お互いの状況をきちんと認識する能力 |
相互支援 | お互いの作業を融通するようにする能力 |
コミュニケーション | チームで適切にコミュニケーションする能力 |
それぞれについて「ツール」と「戦略」がありますので、興味のある方はぜひ調べてみてください。たとえば、相互支援においては互いにフィードバックが発生するため、先に述べた心理的安全性も関与してきます。有名な「2回チャレンジルール※」もここに含まれます。
いずれにしても、チーム全体で情報を共有して全体のパフォーマンスが上がるようにすることが大切で、個人個人がチームの一員として自覚を持てるようにすることが必要ですね。
※2回チャレンジルール(Two-Challenge Rule):一度で伝わらなくても、もう一度伝える努力をすること。
Team STEPPS®におけるコミュニケーションの扱い
Team STEPPS®では「S-BAR」という考え方が提唱されています。S-BARとは、Situation(状況)、Background(背景)、Assessment(評価)、Recommendation/Request(提案・依頼)を指します。コミュニケーションの際は、これらを意識して伝えると良いでしょう、ということです。
私が特に重要だと考えるのはAssessmentです。自分がどう考えるのか、ということはとても大事だと思います。医療従事者同士でも、患者さんが相手でも、Assessmentが甘いとトラブルを起こしやすくなるためです。
仮にわからない部分があっても、自分はこう考えている、とはっきりさせておくことは重要です(カルテの、いわゆるSOAP記載は、よくできているなと思います)。
あとはRecommendation/Requestですね。自分が何をしてほしいのかを明確にしておく方が良いと思います。
一方で、自分のAssessmentやRecommendation/Requestに固執しないことも重要になります。自分の考えに反することを言われるとプライドを傷つけられる...というのは本当に馬鹿げたことで、そう考えるからこそAssessmentやRecommendation/Requestを明確に表現しないことになり、悪循環に陥ります。そういうことのないように心がけたいものです。
また、Check Back(相手の依頼を反復する)も有効な方法として紹介されています。当たり前のようですが、これを職場で習慣化、いわばルール化すれば、ミスを減らすことにつながります。
ほかにもいろいろとあるのですが、さまざまな本などでも書かれているので、ここではこれぐらいにしておきます。
東京慈恵会医科大学附属病院看護部・医療安全管理部 編著:TeamSTEPPS®を活用したヒューマンエラー防止策―SBARを中心とした医療安全のコミュニケーションツール.日本看護協会出版会,2017
最後に
ここまで、より良いコミュニケーションという難しいテーマの話でした。本来はあまり深く考えずにやれれば良いと思いますが、特に指導的立場になると、さまざまなことを考えざるを得ない側面も強くなります。
実はS-BARなどは、少なくとも私の知る限り、医師よりも看護師の方が知っている方が多い気がします。日本では昔からホウレンソウ(報連相:報告・連絡・相談)が大事とされていますが、それをやりやすくする土壌づくりが看護師にはあるのかもしれません。私が若いころと比べて、医師もコミュニケーションについて勉強する機会が増えてきていますので、コミュニケーションについて理論的に理解する、あるいはコツを学ぶ部分が増えてくると良いのにな、と感じています。
偉そうに話している(書いている)私も、コミュニケーションで失敗したと思うことはときどきあります。皆が完璧なコミュニケーションをしようとするより、少しでも良いコミュニケーションをしようと心がけることが大切ではないでしょうか。
◆◆◆
次回は、他科の医師とのコミュニケーションに特化して、より現場に即したお話をする予定です。
- 第1回
- 第2回
- vol.1:
すれ違いはなぜ起きる?
- vol.2:
- 第3回
- 第4回
- 第5回
- vol.1:
医療用文書 ~カルテを用いてコミュニケーションする相手は誰だ?~
- vol.2:
- vol.3:
- 第6回
- vol.1:
- vol.2:
- vol.3:
執筆者:前田 陽平
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医・指導医。日本アレルギー学会認定専門医・指導医。日本鼻科学会認定鼻科手術暫定指導医。医学博士。大阪大学医学部卒業後、市中病院で研鑽を積み専門医を取得。大学院を経て、大阪大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科で助教として勤務、2022年4月からJCHO大阪病院耳鼻咽喉科部長に就任。専門は副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、鼻腔腫瘍、鼻副鼻腔・眼窩・頭蓋底疾患に対する経鼻内視鏡手術など。X(旧Twitter)では耳鼻咽喉科領域の医療情報などを発信し、Yahoo!オーサーとして記事を記載するなど、メディアや雑誌などでも多数活躍している。
▶X(旧Twitter)|@ent_univ_
▶Yahoo!|耳鼻咽喉科医 前田陽平の耳寄りな話
▶note|ひまみみ 耳鼻科 前田陽平
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