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日本の医療はこれまで、医療機関に勤務する医師の長時間労働により支えられてきたと言っても過言ではないでしょう。近年働き方改革によって改善されてきているとはいえ、いまだに長時間労働の実態が残っており、勤務医として働く内科医の多くも長時間労働をしている状態です。内科医が忙しい理由や影響をよく理解し、ワークライフバランスを取る方法を知っておくことは内科医自身の心身の健康のためだけでなく、良い医療の実現のために重要です。今回は、内科医の多忙の理由や影響、ワークライフバランスの取り方についてまとめます。
内科医の平均労働時間の実態
労働基準法では、1日の労働時間は8時間、1週間40時間を超えてはいけないと定めており、時間外労働時間にも制限があります。しかし、医師の労働時間は法定の時間より長くなりやすく、そのような状況を改善するために2024年4月から、それまで特例として施行が猶予されていた医師にも、働き方改革が導入されました。働き方改革施行前の病院常勤勤務医は、男性の41%、女性の28%が週60時間以上働いていました (2019年の厚生労働省調査より)。年代別に見てみると男性医師の週当たりの勤務時間のピークは30代で61時間54分、女性医師の場合には58時間20分で20代にピークが来る傾向が見られました。
平均労働時間は診療科目によって異なり、内科の平均労働時間は56時間13分となっています。同じように忙しいことが知られている外科は61時間54分、小児科は54時間15分、産婦人科は58時間47分となっているので、内科の平均労働時間も長いことがわかります。
ひとことで内科といっても、循環器内科、消化器内科、呼吸器内科、膠原病内科、腎臓内科などさまざまな科目が含まれ、循環器内科、消化器内科、呼吸器内科などは内科の中でも平均労働時間が長いといわれています。 理由としては、患者数や手技が多いことが考えられます。たとえば、循環器内科では心臓カテーテル検査や治療、消化器内科では内視鏡検査や治療、呼吸器内科では気管支鏡検査や治療などが手技に含まれます。当たり前ですが、手技の間には他の診療業務は行えないため、手技が終わった後に対応することになるので、必然的に勤務時間が長くなりがちです。
内科医の仕事内容と多忙の要因
内科医の仕事内容を整理してみると、多忙の要因が明らかになります。
まず、内科医の仕事内容としては、診察、検査のオーダー、診断、処方、家族への説明、生活指導、次回の予約取得、入院患者の病状の把握、指示、緊急時の対応、当直などが挙げられます。また、書類関連の業務も多く、保険関連の書類作成やサマリー作成、紹介状作成、他院からの紹介状に対する返書などが含まれます。
内科医の勤務時間が長くなる要因としては 、 緊急対応、手術や外来対応などの延長、患者さんやその家族への病状説明、記録・報告書作成や書類の整理、院内の会議への参加、他職種・他機関との連絡調整などが考えられます。
勤務時間外に、自己研鑽のための勉強会・研究会などに参加することもあるでしょう。大学病院や研修医を受け入れているような市中病院では、教育のための文献検索やスライド作成、発表の準備などにも時間が費やされていることも考えられます。
実際に医療の現場で忙しく働く内科医の声を聞くと、臨床業務だけでなく事務作業も多く、過剰労働でストレスを抱えている内科医が多いことがわかります。内科医の先生方にとっては、自身の現状と重なる部分もあるかもしれません。
<36 歳、男性医師、内科(循環器)、大学病院、地方部> 患者さんと向き合う時間よりもコンピューターと向き合う時間が長いように感じる。事務作業をもっとシンプルにして欲しい。市中病院のようにメディカルクラークを積極的に導入すべきだと思う。例えば患者さんの都合で、診察や検査の予約日程を相談している時間が無駄だと感じる。それらのことを事務レベルでできる仕組みが欲しい。
<29 歳、男性医師、内科(循環器)、民間病院、都市部> オンコールで自宅待機の時間に対する手当がありません。ただし、時間外労働(当直や平日夜)に対しては、実際の勤務通りの報酬がでます(他病院では時間外が請求できませんでした) 。
<29 歳、男性医師、内科(循環器)、民間病院、都市部> オンコールで自宅待機の時間に対する手当がありません。ただし、時間外労働(当直や平日夜)に対しては、実際の勤務通りの報酬がでます。(他病院では時間外が請求できませんでした)
<27 歳、男性医師、後期研修医、内科、民間病院、都市部> 医師の勤務に関しては、間違いなく過労で多くの医師がモチベーションを下げている現状があります。
<38 歳、男性医師、内科、民間病院、地方部、子ども有> これは医師だけでなく看護師など他の医療スタッフにも共通すると思うのですが、中堅のスタッフに対して融通がきかない施設は長く続かない気がします(病院の屋台骨であるのは、子育て層の中堅スタッフ)。根性はもちろん大切ですが、根性だけでは人は続かないでしょう。
出典:厚生労働行政推進調査事業 分担研究報告書「病院勤務医の勤務実態に関する研究」p.17、26より引用(一部抜粋)
内科医の多忙が与える影響とは
内科医が多忙によりストレスを抱えたり、睡眠不足になると日々の業務に支障が出ます。内科医の多忙による影響として、医療ミスの増加や医療の質の低下、精神疾患の発症による休職や最悪の場合には命の危険につながる可能性があります。 内科医における具体的な医療ミスの例を挙げると、内科全般では指示出しのミスや処方ミス、消化器内科では内視鏡検査や処置におけるミス、循環器内科ではカテーテル検査や処置におけるミスなどです。
また、過剰労働や当直などによる睡眠不足が続くと、集中力や注意力などが低下することがわかっています。海外の研究報告を見ても、慢性的な睡眠不足は、眠気を感じていなくても客観的な覚醒度は低下することが明らかになっています。 医師の働き方改革検討会で行われた報告によると、睡眠時間が6時間以上に比べて、6時間未満の場合には高ストレス・抑うつの割合が高くなることが明らかになり、医師の健康確保のために6時間以上の睡眠が推奨されています。また、当直などで短時間の仮眠、救急対応などの業務、短時間の仮眠を繰り返す場合には、合計の睡眠時間を確保できていたとしても睡眠の質が下がる懸念があります。内科医の多忙による影響を低下させるために、厚労省が推奨する業務時間の短縮だけでなく、質の良い睡眠時間の確保が重要です。
そして、内科医の多忙によるストレスは心身の不調をきたします。ストレスによって抑うつ状態になると、医師の業務を続けることが難しくなる可能性があります。時々、医師の過労死などの悲しい報道にふれることがあります。抑うつ状態のまま頑張りすぎてしまうと、最悪の場合命の危険につながる可能性もあるので注意が必要です。
The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation|PubMed
Sleep Deprivation Impairs Object-Selective Attention: A View from the Ventral Visual Cortex|PLOS One
エビデンスに基づく医師の健康確保措置について|「病院勤務医の勤務実態に関する研究班」分担研究者
内科医がワークライフバランスを取る方法とは
内科医は多忙であり、過剰労働は心身に影響をきたし、結果的に医療の質の低下につながることがわかりました。では、ワークライフバランスを取るためには、どのような方法があるのでしょうか。働く環境や条件によって異なるとは思いますが、内科医がワークライフバランスを取るための方法をいくつか紹介します。
負担の原因を明らかにする
まず、負担の原因となっていることを明らかにする必要があります。医師として、どのように働きたいかも整理してみると良いでしょう。 内科医は、病棟・外来いずれの対応も担うため、負担に感じている先生もいるかもしれません。そのような場合には、どちらかの診療に集中できるように病院側に働きかける方法もあります。病院側に訴えても勤務状況を調整することが難しい場合には、外来対応のみのクリニックへ転職するのも一つの方法です。
職場に考えを伝える
すぐに転職することが難しい場合も少なくないでしょう。その場合、現在勤務している医療機関での労働環境や条件が改善すれば、ワークライフバランスを取りやすくなるかもしれません。 内科では、入院患者さんの急変や高齢の患者さんも多く、夜間対応や救急対応のために昼夜関係なく呼び出されることがあります。夜間には、主治医ではなく、当直医が対応する、など対応の仕方が変わると良いかもしれません。急に変えることは難しいかもしれませんが、病院や診療科に提案してみるのも一つの方法です。
長期的なキャリアを考え、取捨選択する
現在働いている医療機関を選んでいる理由は何でしょうか。専門医取得、学会での発表、論文作成、大学院進学、大学内での昇進、診療経験の蓄積(経験症例数の増加)、希望に合った給料など、先生によってさまざまな理由があるかもしれません。漫然と同じ場所で働くのではなく、どのようなキャリアを積みたいか考え、取捨選択するとワークライフバランスを取りやすくなることがあります。
働き方を選択する
最近では、医師の働き方にも多様性が見られます。非常勤やスポット、オンライン診療などの働き方について検討してみると良いかもしれません。オンライン診療は、在宅でできる場合もあるため、通勤時間を省くこともでき、時間を有効に使えます。
環境を変える
転職して環境を変えるのもワークライフバランスを取るための一つの方法です。大学病院ではなく、市中病院やクリニックに転職すると教育のために費やす時間が減るかもしれません。病院ではなくクリニックに転職すれば、病棟業務に費やす時間がなくなるため、残業時間も減らせるかもしれません。思い切って環境を変えることも大切です。
まとめ
以上の5つが、内科医がワークライフバランスを取るためにできる方法をご紹介しました。従事する診療科目により、働き方は異なるため忙しさも異なるでしょう。職場の同僚などはみな忙しいからと、当たり前として受け入れているだけでは疲労が重なる一方です。ぜひ、この記事を読んだあとに、ワークライフバランスの改善を図ることができないか考えてみてください。
執筆者:大塚 真紀
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