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ドロップアウトとは本来「脱落」という意味の言葉ですが、大学医局から離れた医師に対してもドロップアウトという表現が用いられることがあります。医師の業務は多忙で収入が割に合わないと感じている人も少なくありません。 ここでは医局から離れた医師=ドロップアウトとして、ドロップアウトする理由などについて紹介していきます。
〈この記事を読んでわかる内容〉
- 転職をした医師の年齢層
- 医師がドロップアウトをした理由
- ドロップアウトする前に考えてほしいこと
- ドロップアウトしてクリニックに勤めた実態について
医師のドロップアウト、転職の理由や転職先について考えていきましょう。
医師のドロップアウトについて
医師の中には、「医局内でのキャリアを積むのが医師としての成功の道筋であり、別の道を歩む医師は脱落をした者だ」という考えの人もおり、大学医局から離れた医師を指す言葉として「ドロップアウト」が用いられることがあります。
しかし近年では、大学医局への入局者の減少や、女性医師の増加などによって、医師を取り巻く常識が変化しつつあります。研修医でも病気や産休を理由に休む医師もいますし、自身のワーク・ライフ・バランスを考えて転職をする医師も増えてきています。
医師が転職をする年齢
世代別のキャリア意識では、主に30代以下の若い医師が勤務医、開業医、研究教育を希望しています。
また、30代後半から40代にかけての年齢が転職のタイミングとなる場合が多いようです。医師の経験年数としては10年~20年目になるタイミングとなり、専門医の取得も完了できてきた状況で考え始めると考えられます。
また自身のキャリアを考える年齢でもあり、働き方を見直すために働き方を考える医師が増えるのでしょう。
医師が転職をする10の理由
他の職業の人と同じように、医師にも転職を考えるタイミングがあります。実際に転職を経験した医師の、よくある転職理由を10点ご紹介します。
家庭や生活の事情
医師の転職理由として最も多いのが、家庭や生活事情といったプライベートな問題です。女性医師も増えていますので、出産を機に転職を考えたり、子育てのしやすい環境を求めて転職する医師も多い傾向にあるます。
医師は拘束時間が長く、体力的にも過酷な環境での仕事といえます。「子どもの成長を見守りたい」「子育てしやすい近所で職場を探したい」と感じる人が多くなっております。また、ご両親の介護のためにご実家の近くで働きたいなど、お子さんに関わること以外での理由もございます。
派閥などの人間関係に疲弊
医師として大学医局に入局したものの、「派閥の争いや派閥内外の人との関わり方に疲弊した」という方も多くいるようです。専門医や学位を取得している状態ですと、医局にいる理由も薄れるという意見もあります。また慕っている教授の退任に合わせて、医局を離れるという医師も多い印象です。
勤務の負担が大きすぎる
医師は時に人の命にも関わる処置が必要になる仕事で、緊急の対応に備えておかなければいけないという負担もあります。
「オンコールに疲れてしまった」「退職した医師分の業務が負担になっている」「夜中に急に呼び出された」「無給で当直させられる」という意見があり、体力的な不安や負担が給与に見合っていないという理由で退職するというケースもあります。
また当直になると専門以外の患者さまを診る必要もあり、精神的な負担を感じる医師もいます。
職場環境や人間関係の問題
医師でなくどんな職場であったとしても、人間関係は大切です。「同期・上司・看護師などのスタッフとそりが合わない」「理事長がワンマンで他の医師が辞めていく」「個人主義で協力体制がない」という人間関係やそれに関する体制の問題は転職の大きな理由になります。
職場環境としては、勤めている病院の設備が古い、建物自体の老朽化が進んできているという点が挙げられます。設備が整っておらず、対応できる診療が限られてしまっている、さらに新しい設備投資への期待ができないといったことも転職のきっかけとなります。
給与や待遇に納得できない
医師は高収入のイメージがある職業ですが、仕事の負担を考えると割に合わないと感じる人も少なくありません。激務でありながら、年収が上がらない、給与の急な減額提案などに頭を抱えて転職を決断する医師もいます。
また、「自分より技術が低い同僚が出世した」「久しぶりに大学の同期にあったら、給与や待遇に大きな差があった」など、給与や待遇については誰かと比較するきっかけがあった際に考えることが多いです。
ライフステージが上がるにつれて、子どもの教育費が必要になる、親の介護の費用がかかる、という理由で、より給料のよい病院やクリニックに転職するケースも多いです。
自身のスキルアップや専門性を考えた
医師としてのスキルアップを考えると、転職をした方が将来のためになる場合もあります。
例えば、「専門医取得に必要な症例数が不足している」「開業を視野に入れているので経営スキルも身につけたい」「自分の考え・方針と上司や病院の考えが合わず、満足のいく診療ができない」といった理由です。スキルアップや専門性を考えた転職も多い傾向にあり、特に症例数などについては転職で解決できることが多いです。
やりがいが感じられない
医師としてのやりがい、専門医としてのスキルや経験を活かしたいと考え、転職を決意する医師もいます。
「医師なのに管理業務で手がいっぱい」「医師の不足している田舎で活躍したい」など、もっと自身が必要とされるべき場所で活躍したいという気持ちで転職を決断する方も多い印象です。
勤務先の経営・管理能力に不安がある
経営陣や院長の経営・管理能力に不安を感じて転職を考える方もいます。
「急に経営陣が変更になり、大きく運営方針や業務内容が変わってしまった」「利益優先になっており共感できない」「経営陣と意見が合わない」など、経営に不安・不満を感じて転職を決断する、という方も多くいらっしゃいます。
異動などの辞令交付に納得できない
突然の辞令交付や予想外の内容に納得できず転職を決断する、といった医師も多くいらっしゃいます。
「左遷のような勤務先への異動を告げられた」「突然の異動を度々指示される」「遠方の系列病院への異動を命じられた」といった辞令に納得できず転職を決断されるケースも多いです。
転科を考えている
現在の診療科に不満を抱えていたり将来のビジョンを考えた時に、転科を考える方も多くいらっしゃいます。新しい技術を身につけるためには時間がかかりますし、年齢を重ねると転職先も限られてしまう場合があります。転科をしたいと思ったら、とにかく早めの行動が吉となるでしょう。
研修医でドロップアウトをする前に
「研修が辛い」「そもそもやりたいことと違うかも」とドロップアウトを考えている研修医も多くいます。また、研修医の段階では頑張れていたけれど、専門科に入った専攻医では辛さを噛み締めているという話もあります。
研修医でドロップアウトをする前に、これらのポイントを考えてみてください。
- 指導医のハラスメントは抱え込まない
- 合わないと思ったら転科も検討
指導医のハラスメントは抱え込まない
研修医であれば、指導医と過ごす時間が長くなりますので、ハラスメントがあれば精神的な負担がかかるのは当然です。「自分が悪い」「自分が仕事ができないからだ」と抱え込まずに、医長やプログラム統括責任者に相談してください。ハラスメントが実際に行われていたのかという事実確認をされますので、言われた言葉の内容など、ハラスメントの内容を控えておくようにしましょう。
合わないと思ったら転科も検討
研修医として入局した際に、「頑張っても上手くいかず、自分には向いていないと感じた」「思い描いていたキャリアには当てはまらなかった」など、思い描いていたイメージと違っていた場合は、専攻する診療科目を変更するのも手段の一つです。 ただし、元の診療科目に戻ることや何度も転科できるわけではないため、変更する際は実際にその科目で研修を受けている同期に話を聞くなど、また不一致が起きないように注意が必要です。 医師という職業的に休みを気軽にもらえなかったたり、辞めにくいこともあります。そのため、どうしても無理だと感じた場合は、働きながら働き方を変えられるような手段を選んでいく方が多い印象です。
転職してクリニックを選ぶ
病院勤務からクリニック勤務に転職するという方も多く見られます。クリニック勤務でのメリットやデメリットについても確認しておきましょう。
クリニックで働くメリット
地域の重要な医療機関となるクリニックで医師として働くメリットは、こちらです。
- 外来診察のスピードが上がる
- 当直がない
- 勤務時間の自由度が高い
- 入院患者がいないので夜勤がない
- 特定の医療分野に集中できる
クリニックで外来をしていると、診療科や時間帯によってはあっという間に数十人待ちという状況になる場合もあります。雑にせずに丁寧に接しながら、患者さまの目的を満たす診察ができるようになっていきます。多くのクリニックでは、当直や入院患者はおらず、メリハリのある働き方が出来ます。
クリニックで働くデメリット
一方、クリニックで働くとこのようなデメリットがあります。
- 高度な医療に関わりにくくなる
- 勤務状況によっては収入が減る可能性がある
- 最新の医療関連の情報が入りにくい
- 警備員や守衛がいないため、自分自身で守る必要がある
一方、クリニックで働くとこのようなデメリットがあります。クリニックは大病院のような設備や手術があることがほぼなく、達成感を感じられるシーンも少なくなります。今まで難しい患者さまを担当していた医師ほど、物足りなさを感じてしまうかもしれません。
そして、患者さまによっては、暴言や暴力が出る可能性もあります。警備員や守衛がいないため、医師であっても自分の身を守らなければいけなくなる時もあるかもしれません。また、クリニックにもよりますが最新の情報が入りにくくなったという声もよく聴きます。
▼「クリニックへの転職」に関する記事はこちら
【病院からクリニックへの転職を考える医師】が知っておきたい3つのこと~違い・選び方・体験談~|医師向けお役立ち情報
ドロップアウトをネガティブに考えすぎないように
様々な理由で自分自身を守るため、働き方をよりよくするため、スキルアップをしてより将来を豊かにするためにもドロップアウトは決してネガティブな選択だけになるわけではないと捉えましょう。
「転職したらもっと待遇が悪化するのでは?」「希望に沿った求人があってもどうせ入職できない」などネガティブに考えている方もいらっしゃいますが、自分自身で判断せずに、まずは医療業界専任のコンサルタントに相談してみることをおすすめ致します。費用もかからないですし、希望の条件を伝えれば自分自身で探したり、面接の日程調整をすることも必要がないので忙しい方でも安心です。
ドクタービジョン編集部
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