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全国各地にある病院の種類は、国立病院、公的医療機関、私立大学病院など実にさまざま。理念や経営方針はもちろん、給与体系などの待遇面の条件も、病院の種類ごとに異なります。こうした病院ごとによる違いは、就職や転職を検討する際の重要な判断材料になるため、事前にしっかり把握しておきたいところです。
ここでは、私立大学病院に勤務した場合の年収、働き方の例、仕事を通じて得ることのできるスキル、病院設備の充実度などについてご紹介します。
私立大学病院の平均年収
医師の平均年収はほかの職種と比較して高い傾向にあります。厚生労働省がまとめた『2019年賃金構造基本統計調査』から試算した医師の平均年収は1,169万円。ほかにも同資料を使用した試算で、平均年齢は男性41.6歳・女性38.2歳、毎月決まって支給される給与は男性96万円・女性79万円、平均賞与は男性81万円・女性68万円、平均年収は男性1,221万円・女性1,016万円という結果も出ています。
この結果には、アルバイトによる報酬額は含まれていません。そのため、あくまでも目安として捉えてください。
病院で勤務医として働く場合、病院の経営形態によって年収額に差が生じます。これは大学病院も例外ではありません。おおよその金額ですが、私立大学病院に勤務する医師の平均年収は1,000万円といわれています。
市中病院・国立大学病院との年収差
市中病院とは、医療法人もしくは個人が管理・運営する病院のことです。規模、診療体制の特徴、設備の充実具合、地域における位置づけは、市中病院ごとにかなり差があるのが特徴です。
市中病院で勤務する医師の平均年収については、『勤務医の就労実態と意識に関する調査』に掲載されています。医療法人に勤務する医師の平均年収は約1,444万円、個人は1,414万円です。医師の平均年収額を大きく上回ることがわかります。
また、国立大学法人が管理・運営する国立大学病院に勤務している医師の平均年収は、800万円といわれています。医師全体の平均年収および私立大学に勤務する医師の平均年収よりも、かなり低い金額であるといえるでしょう。
大学病院に勤務する医師の平均年収が低い理由には、大学病院という性質が関係しています。そもそも、大学病院は研究や医師の育成を目的としています。そのため、診療による利益の追求を求めない前提条件があるのです。
こうした事情から、大学病院では運営予算に対する人件費の割合は低く設定されています。そのため、勤務する医師の平均年収もおのずと低くなる傾向があるのです。
国立大学病院の場合、さらに国の機関であることの影響が加わります。国立大学病院は、厚生労働省が管轄する機関として、国民全体のメリットを考えた医学研究や高度医療の実践することを求められています。従って、運営予算に対する人件費が占める割合は私立大学病院よりもさらに低いのです。
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私立大学病院の特徴・働き方について
設備について
大学病院では、医学研究や高度医療の実践が求められるため、より高度で難易度の高い検査や治療を必要とする患者さまが受診します。そのため、最新の医療機器や設備導入を積極的に実施することが多いです。
医療機器は最新かつ高性能なものになるほど高額になるため、現場では必要性を感じているもののなかなか導入できないものもあります。大学病院に勤務すると、医学研究に携われるだけでなく、最新の医療機器や設備を使用した診療を経験できるチャンスにも恵まれます。
得られるスキルについて
私立大学病院の業務内容は、外来の患者さまと入院している患者さま、それぞれに対する診療と付随する業務など多岐にわたります。また、周辺地域における救急機能の要として機能している場合には、より高度な治療の提供である三次救急も求められます。そのため、私立大学病院は基本的に多忙な職場です。
私立大学病院は、入院機能を有する医療機関としての役割のほかに、医学発展と後進育成のための研究教育機関という側面も持ち合わせています。そのため、地域のクリニックから紹介される難しい症例の患者さまを診療する機会が多いことも、私立大学病院の特徴といえるでしょう。
異なる年次の医師に相談しやすい環境があることも、注目すべきポイントです。大学病院に所属する医師の年齢層と実務年数は幅広いため人材の層は厚く、研修医などへの指導方法のノウハウが現場で受け継がれているケースも多いです。先輩医師や上司も多忙であることに変わりませんが、時間があるときやタイミングがあえば、診療や手術についての相談できます。
年次が低いうちは、指導医や先輩医師から雑務を頼まれることも多いですが、「先輩医師たちはどのように診療や研究を進めるのか、どうやって患者さまやご家族とコミュニケーションを図っているのか、間近で学べるチャンス」と捉えたほうがいいかもしれません。
日常的な症例から、珍しい症例や治療に難渋する症例まで、さまざまな経験を数多く積んで診療スキルを磨けることは、私立大学病院で働くことのメリットです。
働き方について
私立大学病院に勤務する医師の週あたり労働時間について『勤務医の就労実態と意識に関する調査』を見ると、平均時間は50.8時間でした。
さらに詳しく見ると、20時間未満と回答したのは7%、40時間未満は10.3%、50時間未満は21.3%、60時間未満は27.3%、70時間未満は16.3%、80時間未満は8.7%、80時間以上は9%です。
この数値はあくまでも平均値です。一週間あたりの労働時間が50〜60時間と回答した割合が最も多く、また80時間以上働いていると回答した医師の数が約1割になることを考えると、私立大学病院の忙しさが想像できるのではないでしょうか。
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病院見学や先輩医師への相談もおすすめ
私立大学病院に勤務する場合、人材層の厚い環境で実務を学びながら、最新機器を使用した診療にチャレンジできる機会があります。しかし、年収は医師全体の平均金額よりも低くなります。
勤務先を探す際の判断基準は人それぞれです。あなたがもし将来の勤務先の候補として私立大学病院を考えているようでしたら、その病院が得意とする診療内容や院内設備などについてよく調べるとよいでしょう。
病院見学に参加すると詳しい解説を聞くことができます。気になる私立大学病院に医学部の先輩が勤務している場合は、先輩に率直な感想やアドバイスをもらうこともおすすめです。
ドクタービジョン編集部
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