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20代から50代医師の平均年収はどれくらい?転職するならどの年代がベスト?
医師は一般企業と比べて収入が高い職業と言われています。ですがデータとして出ている医師全体の平均年収は、環境やスキルなどすべて含めて計算された数字であるため、中身をみていくと年齢によって平均年収に大きな差があることがわかりました。
そこで今回は年代別に医師の平均年収を比較しながら、収入の差にどのような変化があるのかについて解説していきます。
年代別で見る医師の平均年収とは?
厚生労働省の28年度の賃金構造基本統計調査の年齢別データを、基にして最新のデータから医師の年収を割り出してみました。
年齢別の医師の平均年収は以下の通りです。
年齢 | 平均年収(女性) | 平均年収(男性) |
---|---|---|
24~29歳 | 628万2900円 | 690万2200円 |
30~34歳 | 968万3500円 | 1013万8100円 |
35~39歳 | 1193万1600円 | 1187万1100円 |
40~44歳 | 1259万2000円 | 1538万7900円 |
45~49歳 | 1365万4300円 | 1657万3300円 |
50~54歳 | 1518万1600円 | 1807万7000円 |
55~59歳 | 1589万5200円 | 1807万6000円 |
60〜64歳 | 1427万1900円 | 1658万9100円 |
65〜69歳 | 1516万5300円 | 1610万1300円 |
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(28年度)より(http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2016/index.html)
上記の表を見てみると、男性も女性も年齢が上がるにつれて給与も増えていることがわかります。医学部を卒業して研修医の場合は、月給30万弱なので一般企業とはあまり大差ありませんが、20代後半になるにつれて徐々に給与が上がっています。
収入として大きく伸びてくるのは30代以降で、それぞれ現場での経験を求めたり独立開業をしたり、あるいは院長をしたりなどキャリアの分かれ道になる年代でもあります。平均年収のピークは50代で、そこからは安定もしくは少しずつ伸びていくような時期となっていることがわかります。
年代別で考えるキャリアアップと年収事情
上記で解説した年代別でみた平均年収の背景について、ここからは各年代に分けて細かく解説していきます。
20代は研修医として吸収する時期
医学部は6年制のため、病院に勤務するのは早くても24歳からになります。ただ卒業してすぐ一人で現場に出られるわけではなく、2年間は研修医として勤務することになります。そのため給与は月給にして30万円ほどと決して高いとは言えません。
中には「アルバイトをして収入を増やしたい」と考える研修医もいますが、初期研修の2年間はアルバイト禁止のため、他で収入を得ることはできません。あくまで医師として独り立ちするための2年間となるため収入を増やすことは難しいでしょう。
ただ、研修医期間を終えた20代後半を見てみると、男女共に平均年収が大幅にアップしていることがわかります。おそらく20代の頃は学位取得の関係もあり、ほとんどの人が医局に入ることを考えますが、2004年の新研修医制度の導入に伴い、医局を離れて市中病院などで研修を続ける人も増えています。
実際にいろんな症例を担当し、現場での経験を積む時期に入るので20代後半に入ると給与は上がります。また他の病院でアルバイトをする医師も多いため、平均年収を超える収入を得ている医師も多くなります。
30代から平均年収は急激に上がる
30代の医師は20代のうちに学位や専門医の資格を取得していれば、その知識を現場で活かし経験を積む時期となります。当直や残業なども増える年代であるため収入は多いのですが、その分体力的な負担が増えるようになります。そこで多くの医師が考えるのは転職です。
上記の理由以外にもさらなるキャリアアップを求め、転職を考える医師が多いのが30代の時期なのです。
例えば「今よりさらに収入アップを目指したい」あるいは「専門医の資格を活かした症例を実際に現場で経験を積みたい」という理由が多いようです。知識と経験を詰んで、即戦力としても期待が出来る若い人材はどの病院も欲しがる年代です。転職市場においても売り手市場の傾向があるので、有利な選択を出来る可能性も広がり、キャリアチェンジには最適な年齢であるといえます。しかし、中には過酷な医療現場も多いため、体力的な負担が減ることも。しっかりと見極めた上で転職する必要があります。
40代から収入が一気に伸びる
キャリアが充分にのっている時期なので、収入面で見ても医師として最も勢いのある年代と言えるでしょう。また医局に所属している場合は、組織の中での位置づけや今後の着地点がある程度見えてくるため、医局に残るか離れるか最終的な決断をする時期とも言えます。
たとえ医局を離れることになったとしても、実績があればたくさんの病院から歓迎され、転職先に苦労することはないでしょう。給与や福利厚生などを今の状況と比較しながら条件交渉がしやすく、冷静に判断した上で転職が可能です。新しい職場でチャレンジしたいと考える人も多いので40代もキャリアチェンジするタイミングの一つであると言えるかもしれません。
ただ、絶対数だけで見ると40代医師の受け入れを希望する病院は30代医師の受け入れを希望する病院よりも少ないものです。また、専門分野への転職は年齢が上がるほど難しくなります。特に外科系は30代後半がピークとも言われているため、40代になると転職の際に選択の幅が狭まってしまう危険性があることも頭に入れておきましょう。
また独立開業するかどうか決めるのも、40代がチャンスとしては一区切りと言われています。開業すること自体はいくつになってもできますが、銀行からの融資などは年齢も判断基準とされるため、30代〜40代がベストなタイミングと言えるでしょう。
50代になると収入は安定する
50代に突入すると、キャリアは安定に入る時期になります。責任のある役職や病院の院長を任されたり、あるいは病院経営にも携わったりと、現場よりも管理する立場になることがほとんどです。
稀にこのタイミングで医局を離れて転職する決断をする医師もいますが、症例実績によっては小規模の病院かつ専門的な分野で医師が不足しているところであれば、転職できる可能性は充分にあります。近年医師の人材不足もあって、上記のようなケースも珍しくはなくなってきました。
50代は30代〜40代で決めたキャリアプランをより現実なものにしていく時期になります。独立開業にチャレンジする人もいますし、大学に戻って教授になる人もいるようです。
傾向としては、医師として現場で症例をこなすというよりは「役職につきたい」「残業や勤務時間がきっちりしているところがいい」など今後のライフスタイルを重視した働き方を希望する医師が多くなります。
このように年代別で考えると、キャリアに対する考え方から実際の積み上げ方は違い、キャリア形成と平均年収は大きく関係していることがわかります。
また女性医師の平均年収を見てみると40代以降大きな変化がないことがわかります。これは多くの医師が結婚や出産による子育てなどを経験した後、家庭に重きをおくタイミングでもあるため、収入アップよりも家庭を重要視した働き方を選ぶ傾向にある背景があります。
医師としての将来像を明確にするタイミング
年代別に平均年収とその背景について解説してきましたが、このキャリアプランから医師としての将来像を明確にするタイミングはいつなのでしょうか。
個人差はありますが、上記の内容で考えると20代後半〜30代がベストなタイミングでしょう。年齢的にも振り幅が広く選択肢が多いので余裕を持って方向性を決めることができます。しかも、体力面でも余裕があり、いろんな現場を経験できるのもこの年代だからです。
40代以降でもキャリアチェンジは可能ですが、選べる選択肢は狭くなってしまいます。将来独立開業したいのに院長経験や現場経験、あるいは病院経営の基礎ができていないなど必要最低限の条件が揃っていなければ、実現することができなくなってしまいます。
医師として歩みたいキャリアへ確実に進むことができるように、早いうちから転職時期や独立開業時期なども頭に入れておきましょう。年収アップの面でも転職次第で大きく変わってくることもあります。
今回は20代から50代医師の平均年収について、金額や年収アップの背景を解説してきました。上記のデータ30代40代が年収アップのピークであることが分かるように、この年代は転職・役職アップ・年収アップ・あるいは独立開業など選択肢が最も広い時期と言えます。
ですが各年齢によって転職する目的は違うため、ベストなタイミングも同じように違ってきます。転職する選択肢を間違えてしまえばキャリアや高度な現場経験などさまざまなチャンスを失う可能性もあります。
自身にとってベストな転職のタイミングを決めるためには「将来どのような働き方をしたいか」「医師としてどうなりたいか」というビジョンをまずははっきりさせることが大切です。
ドクタービジョン編集部
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