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女性医師が「仕事を辞めたい」と思うのはどんな時?
データで見る、女性医師の休職・離職理由
女性医師が仕事を辞めたいと思うのにはさまざまな理由がありますが、実際に休職や離職に至った女性医師はどのようなことが理由だったのでしょうか。
まずは日本医師会「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」をもとに、休職期間ごとにみた女性医師の休職・離職に関わる主な理由を紹介します。
3年以上における休職・離職者数
- 出産・子育て:322人
- 自分の留学・研究等:156人
- 夫の都合:135人
- 自分の病気療養・休養等:60人
- 家族の介護、家事等:49人
- 転居・転職等を機に:4人
- 職場が原因:2人
- その他・詳細不詳:4人
1年-3年未満における休職・離職者数
- 出産・子育て:1205人
- 夫の都合:277人
- 自分の留学・研究等:271人
- 自分の病気療養・休養等:187人
- 家族の介護、家事等:71人
- 職場が原因:5人
- 転居・転職等を機に:3人
- その他・詳細不詳:13人
1ヶ月以上1年未満における休職・離職者数
- 出産・子育て:2470人
- 自分の病気療養・休養等:468人
- 夫の都合:138人
- 家族の介護、家事等:108人
- 自分の留学・研究等:66人
- 職場が原因:10人
- 転居・転職等を機に:22人
- その他・詳細不詳:32人
離職・休職者数が最も高いのが出産・子育てとなっており、多くの女性と同じく女性医師のキャリアもライフプランに左右されていることが窺えます。
勤続年数が短い医師ほど出産・子育てで休職・離職する割合が高い傾向にあることからは、医師として研鑽を積むべき時期と出産・子育ての適齢期が重なり、取得した医師免許を活かしきれずに休職や退職となってしまう女性医師が多いという事実が浮かび上がります。
また、勤続年数が高い医師ほど「夫の都合」が占める割合が増加しているという点からは、仕事と家庭のバランスを取っていくことの難しさも窺うことができます。
女性医師が職場で抱える悩み
日本医師会第1回男女共同参画フォーラム「アンケートから見える女性医師の課題」の調査によれば、女性医師が抱える悩みは以下のようになっています。
- 余暇が不足 182人 / 48%
- 学会参加など勉強時間が不足 171人 / 45%
- 特になし 78人 / 21%
- 女性差別 55人 / 15%
- 夫/パートナー非協力、無理解 51人 / 14%
「余暇が不足」「勉強時間が不足」という声の多さは、育児や家事と医業との両立の難しさを語っています。
「特になし」と回答した人も多いものの、女性差別や身近な人物の理解・協力を得られない等ここでも周囲からの理解を求める声が多く挙がっています。
この調査では「女性が生き生きと仕事を続けられるために必要な、出産・育児以外の支援対策」についても回答を募っており、結果は以下の通りです。
- 男女の多様な働き方をすすめる 238人 / 63%
- ポジティブ・アクション 95人 / 25%
- 夫婦別姓を実現する 68人 / 18%
- 性差別やセクハラのチェック機構 65人 / 17%
- 融資を促進し開業しやすくする 45人 / 12%
制度や仕組みの充実もさることながら、まだまだ女性が医師として働き続けることへの理解が進んでいないことが窺える結果となっています。
「辞めたい」と思った女性医師が働き続けるための転職先
非常勤アルバイト・スポット勤務
定期非常勤は勤務日数が週2~3日であることが多く、勤務時間も8時間未満で働くことが可能です。常勤に比べて勤務時間と日数が減ってしまうものの、訪問診療や自由診療などは給与が高い傾向にあり、時給1.3万円以上支給される勤務先もあります。
スポット勤務は短ければ1日・数時間のみから勤務可能です。2~3日や1週間を超える勤務もあり、日給制もしくは仕事単位で給与が支給されます。
どちらも常勤に比べると非常に融通が利く働き方になっているため、産後に子育てを優先したい女性医師は非常勤として働くのもよいでしょう。
時短勤務
常勤医師として、勤務先の就業規則よりも短い勤務時間での勤務が可能な形態を「時短勤務」といいます。年収は減少しますが、時短により業務量が減少するものの常勤と業務内容自体は大差ありません。
子育てなどで一次的にワーク・ライフ・バランスを変える必要があるものの、いずれは常勤に戻ることを想定されている場合は、勤務先に時短勤務を申し出てみるのもよいでしょう。
当直・オンコール免除
当直・オンコールを免除してもらう際には上司に相談する必要がありますが、勤務先で育休の前例があれば比較的柔軟に受け入れてもらえることが多いようです。
しかし、育休取得者がいない職場の場合は上司の理解を得るのに苦労することも考えられます。また、上司に承認されても条件付きでの免除になる可能性もあります。勤務先の医師数や自分が抱えている業務次第では、当直・オンコールを免除してもらえない可能性もあります。
どうしても当直やオンコール対応が難しい場合は、以下のような当直やオンコールの少ない転職先を検討してみましょう。
- 入院・手術の少ない病院...外来を主とする医療機関であれば、当直・オンコールは少ない
- 慢性期病院...病状が安定している患者さまが多いため、当直・オンコールは少ない
- 医師が多い都市部の病院...当直・オンコールできる医師が多く在籍しているため、免除が期待できる
- 検診・保健センター...当直・オンコールがない
転科
現職の診療科ではワーク・ライフ・バランスが保てそうにない場合は、転科という方法もあります。
ただし、転科先によって勤務時間や給与には大きな違いがあるため、慎重に検討する必要があるでしょう。
外科・脳神経外科・救急科は勤務時間が長く、精神科・リハビリテーション科・眼科は勤務時間が短い傾向にあります。
また、年収は外科系・内科系・その他系の順で高くなる傾向にあります。
各診療科の特徴をおさえたうえで、自分の希望する働き方ができて適正のある診療科を選びましょう。
フリーランス
フリーランスの医師には、「常勤(病院勤務)」「非常勤(定期非常勤・スポット勤務)」「開業医(病院や診療所を開設した医師)」といった働き方があります。
自分自身の状況に応じて勤務日数や時間を調整したり給料の高い職場を選んだりできる一方、勤務先に自身で営業をかける必要があり、業務量の調整も自分自身でおこなわなければなりません。
人脈があり、自己のアピールやマネジメントに長けている女性医師に向いているといえるでしょう。
転職先を決めるためのステップ
ステップ1. 転職サービスに登録する
転職意思が固まり切っていない状態であっても、まずは転職サイトや転職コンサルタントに登録してみましょう。提案される情報から、意外な転職先を見つけるきっかけが生まれるかもしれません。
ステップ2. 診療科を決める
次に、専攻している診療科に勤務するか、転科するかを検討しましょう。そのためには、自分自身のキャリアプラン、収入を今後どうしていきたいかをじっくり考える時間を持つとよいでしょう。
ステップ3. 退局・退職するタイミングを決める
転職意思が固まったら、退局・退職するタイミングを決めましょう。一般的に退職・退局するまでには半年~1年以上かかりますので、それを見越して転職活動を始める必要があります。
転職は条件や収入だけでなく、将来的にどんな医師を目指すのか、長期的なワーク・ライフ・バランスなども加味して検討するのが肝要です。後悔のない転職を実現するために、客観的な意見やアドバイスが貰える医師転職を支援するコンサルタントなどを上手に活用してください。
離職を決める前に知っておきたい、女性医師のための制度や支援
出産・育児に関する制度や支援
産前・産後休業は、雇用形態や契約期間によらず全ての女性労働者が取得できます。
産前休業は、出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)に申請すれば取得することができます。出産当日も産前休業に含まれ、1日ごとに標準報酬日額の3分の2に相当する金額を取得することができます。
出産の翌日から8週間は就業することができず、産後休業として扱われます。
ただし、産後6週間後に本人から担当医に申請し認められれば就業することも可能です。
女性だけではなく、男性も育児休業を取得することができます。
育児休業を取得するには休業開始予定日の1ヶ月前から申請する必要があり、1歳に満たない子どもの世話をする場合は子どもが1歳になるまで育児休業の取得が認められています。
保育所等への入所申し込みを行っても満員等で入所できないことがありますが、その場合は育児休業を子どもが2歳になるまでに延長することができます。
育児休業中は、原則として休業開始時の賃金の日額×支給日数×67%(ただし、育児休業の開始から181日目以降は50%)が支給されます。
そのほか、妊娠中および産後1年を経過しない妊産婦は、医師等から受けた指導事項の内容に沿って時間外労働や深夜業の制限、勤務時間短縮、通勤緩和などの負荷軽減措置を受けることが可能です。
制度についてよく調べ、勤務先に相談し理解を得つつ利用しましょう。
産休・育休に関する注意点
臨床研修や医局ローテーション中に関連病院に配属されるとその都度有休休暇日数がリセットされたり、転職を繰り返すと就労支援を受けられなくなったりする可能性があります。また、所属している病院の雇用期間が1年未満の場合、産前・産後、育児休暇の取得は労使協定により認められません。
勤務先の就業規則を確認し、産前・産後、育児休暇の取得条件を把握しておきましょう。
複数の病院に勤務している場合、休業手当・補償は主に勤務している給与をもとに算出されるため、休業手当・補償金が少なくなってしまう可能性があります。
こうした「制度の落とし穴」に陥らないよう、早めに勤務先の制度を確認し、ライフプランを立てておくのがおすすめです。
女性医師のための離職防止・復職支援
女性医師のライフステージに応じた就労を支援するための取り組みとして、厚生労働省は以下のような離職防止・復職支援を推し進めています。
・女性医師支援センター
厚生労働省の委託をうけて日本医師会が運営する女性医師支援センターでは、女性医師がライフステージに応じて柔軟な勤務形態で働くことができるよう、「パートタイム勤務などの職業斡旋」「キャリアや子育て、介護などに関する相談窓口の紹介」といったサービスを提供しています。
・女性医師バンク
日本医師会が厚生労働大臣の許可を受けて行う職業紹介事業である女性医師バンクでは、日本医師会員でない方も無料で登録・職業紹介を受けられるほか、復職に向けた再研修や、就業後の相談をすることもできます。
厚生労働省「女性医師離職防止・復職支援について」
公益社団法人 日本医師会「女性医師支援センター」
日本医師会「女性医師バンク」>
ドクタービジョン「女性医師の出産~医師と母を両立するための基礎知識~」
女性医師の転職を応援する転職コンサルタント
ドクタービジョンは、医師専門の求人・求職者紹介サービスを提供しています。多くの女性医師に登録・利用いただいており、2019年度は前年比126%、2020年度は246%、2021年度は411%と女性医師の転職者数が増え続けています。
常勤・非常勤、スポットといった豊富な転職先を持つドクタービジョンは、利用者のワーク・ライフ・バランスに合わせた転職先をご紹介しています。
多数の女性医師の先生の転職をお手伝いしてきた中から、いくつか事例をご紹介させていただきます。
子育て×年収2000万円の希望を叶えた働き方~女性医師Aさんの場合~
育休後、子供が入園したタイミングで常勤として復職を考えていましたが、病棟管理や当直があるため迷っていたところ、コンサルタントから非常勤として2つの医療機関で働くという提案を受けました。
現在は、興味があった分野をそれぞれ対応できる産科、婦人科の2つのクリニックで計5日間働いています。
約2000万円の年収とプライベートの時間を確保しながら、スキルを磨くことも出来ているので、個人的には良い選択だったと思っています。
長期的に働ける環境かつ、裁量権のある勤務先へ~女性医師Bさんの場合~
週の半分程度を手術に費やしており、今後の働き方を考えた際に肉体的にも精神的にも限界を感じていました。また、業務に関連した裁量権が無いことで、思うように業務を進めることができないもどかしさも感じており転職を考えました。
相談させていただいたコンサルタントは私の悩みや希望、患者さまへの思いに真摯に向き合い、求人をいくつか紹介してくださいました。
その中で何社か面接を受け、最終的に院長職として勤務できるクリニックへの転職を決めることができました。
転職後の職場は、クリニックの院長という役職柄、仕事に対する裁量権が大きく、効率よく仕事が回っている実感があります。肉体的にも精神的にも無理なく働ける職場に巡り合うことができ、同居している母のためにも転職してよかったと感じています。
妊娠、出産、子育て、職場の人間関係や体力的な不安など、女性医師が辞めたいと思うにいたる悩みや不安は多くあるでしょう。
医師転職の実績豊富なドクタービジョンなら、そんなあなたの気持ちに寄り添い、ヒアリングした内容やお人柄に合わせた求人をお探しし、ご紹介、入職までサポートいたします。
サポートは全て無料です。ぜひ一度ご相談ください。
ドクタービジョンの女性医師応援ページ
ドクタービジョン編集部
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