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他の診療科目へ転科したい場合、現実的に転科はできるのかを考える必要があります。現在、どの診療科目を専門としているのか、そしてどの診療科目へ転科したいのかによっても変わります。
また、転科は可能であるものの大きな労力と長い時間がかかる場合には、メリットとデメリットを踏まえた上で転科すべきかどうか考えることが大切です。ここでは、他の診療科目への転科は難しいのかどうか、その理由や注意点を踏まえてご紹介します。
他の診療科目への転科を希望する理由とは?
他の診療科目への転科は簡単なことではありません。まずは、よくある転科したい理由について確認しましょう。
現在の診療科に魅力を感じない
モチベーションをキープするためには、現在の環境に満足している必要があります。魅力を感じないまま仕事をすると大きなストレスにつながることもあります。
患者が少なくやりがいを感じられない
地域によっては特定の診療科を受診する患者が少ない場合があります。患者一人一人と丁寧に向き合えることを前向きに捉える方もいますが、人によってはやりがいを感じにくくなってしまう方もいます。
訴訟のリスクがある
医療の現場では、あらゆる場面で訴訟のリスクがあります。特に、生命に関わる診療科は訴訟のリスクが高く、勝訴したとしても病院や個人の評判に影響が及ぶことがあるのです。そのため、訴訟のリスクが低い診療科へ転科したいという方もいます。
体力の問題
夜勤が多く、救急外来の患者数が多い診療科もあります。体力の問題により、救急外来の患者数が少ない診療科に転科したいという方もいるのです。救急外来が無い病院に転職する方法もありますが、夜勤がある方が多くの収入を得られるため、転科を最初に考える人もいます。
転科によって得られることと注意点
転科は簡単にできるものではないので、どのようなことを得られるのか、またどのような注意点があるのかを十分に確認したうえで考える必要があります。
転科によって得られるものには、今後のキャリア形成に良い影響を与える力があります。注意点も多いですが、後々のことを考えると得られることの方が大きいとも言えるでしょう。
転科によって得られること
他の診療科目に転科することで得られるものは、以下のようなことがあります。
・モチベーションを高く持って仕事ができる
転科してまでやりたい診療科目であれば、高いモチベーションで仕事ができるでしょう。そして、知識や技術の習得や給与アップ、キャリアアップなど良い結果に繋がると考えられます。
・ライフワークバランスを保てる
体力面に問題があるために転科した場合、休日も疲れて1日中寝て過ごすということを避けられるでしょう。休日は好きなことをして過ごし、平日は仕事に打ち込むというライフワークバランスを適切に保てるようになります。このようなことは、仕事のモチベーションアップにも繋がります。
・ストレスを緩和できる
訴訟リスクを恐れているために転科した場合、ストレスを緩和できます。訴訟のリスクによるストレスは継続的に受けるものであるため、そのストレスを和らげられれば、心にゆとりが生まれるでしょう。
・今後の選択肢が増える
転科してしばらく勤めた結果、独立開業することになった場合、複数の診療科を備えた状態で開院できます。様々な病気に対して診療できれば、それだけ患者数が多くなり、収入源が増えるのです。
注意点
転科する際の注意点は、以下のようなことが挙げられます。
・収入が少なくなる可能性がある
診療科目によっては収入の水準が異なるため、場合によっては収入が下がることがあります。そのときは収入が下がらなくても、今後転職したときに下がることも考えられます。年収が下がってもモチベーションを保てるか、よく考えた方がいいでしょう。ただし、現在の診療科目における実績も評価基準としている職場を選ぶことで、年収が下がらずに済むこともあります。
・年下の医師による指導を受けることになる
転科後しばらくは年下の医師による指導を受けることになる可能性があります。プライドが許さず、結局元の診療科目に戻ることも考えられます。また、元の診療科目でどれだけ豊富な実績を持っていたとしても、転科先では新人医師として扱われることが多いです。
・ギャップを感じることがある
希望の診療科目への転科に成功したものの、イメージと異なる点が多く、ギャップを強く感じる場合があります。その結果、転科したことを後悔するケースもあるのです。
転科の難しさは診療科目によって異なる
各診療科目で必要なスキルには共通点が少ないのですが、場合によっては持っているスキルを活かせることがあります。そのため、どこからどこへ転科するのかによって、難易度が異なります。なお、転科が比較的容易な診療科目はありますが、それでも多大な勉強と苦労は覚悟しておくべきでしょう。難しく感じるかどうかは本人の性格や得意分野によって異なるため、一概には言えません。
消化器外科から消化器内科の場合は、知識や技術の共通点が多いため、比較的容易に転科できるでしょう。内科から皮膚科や精神科、耳鼻科や婦人科などへの転科は難しいと言えます。基本的に、これまでの知識に肉付けするだけではなく、希望の診療科の専門知識を一から身に付けることになります。そして、専門医として認定を受けるために、さらなる努力が必要になるのです。
まとめると、「転科は可能なものの一部の診療科目を除き、多大な勉強と苦労をしなければ難しい」ということになります。
転科先は同じ病院か違う病院か
違う病院に転職すると同時に転科するのか、同じ病院内で転科するのかによって、その後の結果が変わります。違う病院に転職すると同時に転科した場合には、全く面識がない医師の指導を受けることになります。
同じ病院内の診療科目に転科した場合には、指導をする医師との面識があれば今後も働きやすいと言えるでしょう。ただし、転科した医師であることが周りの人に知られているため、そのような意味では働きづらく感じることもあります。
過去に転科した人が在籍しているか
同じ病院内での転科、違う病院での転科のいずれの場合においても確認しておきたいことが、「過去に転科した人が在籍しているか」ということです。そういった人物が在籍している場合、転科について理解されやすいため、働きやすいと考えられます。また、転科した人のためのカリキュラムなどを導入している病院であれば、しっかり勉強しつつ経験を積むことができます。
どうしても転科したい場合は若いうちに行動すべき
他の診療科目への転科は難しいのか、転科は病院内か他の病院のどちらがよいのかなどをご紹介しました。40代以降の転科では、自分より若い医師に実績や技術の面で負けることもあるでしょう。周りの医師をライバル視して勝ち負けにこだわるのであれば、プライドが許さず、病院を転々としてしまう可能性もあります。
転科はかなり難しいことですが、どうしても転科したい場合は若いうちに行動すべきと言えます。若いうちに転科することで、努力次第ではあるものの、周りの医師と同レベル程度には成長できると考えられます。また、元の診療科目についても引き続き勉強することで、将来的に2つの診療科目を掲げて開業できる可能性があります。
転科を検討している段階であれば、まずは周りの医師や上司に意見を求めましょう。知人の知人に実際に転科した人物がいる場合、詳しい話を聞ける可能性があります。その際に、転科した医師に対してカリキュラムを実施している病院を紹介してもらえる場合もあるでしょう。このように、転科はほとんどの医師が行わないことであるため、コネクションを通じて様々な情報を得たうえで検討する必要があります。
ドクタービジョン編集部
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