HPKIカード(医師資格証)とは?概要や普及率、今後の展望を解説

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公開日:2024.02.07

HPKIカード(医師資格証)とは?概要や普及率、今後の展望を解説

HPKIカード(医師資格証)とは?概要や普及率、今後の展望を解説

医師の皆さん、HPKIカードについてご存知でしょうか。医師をはじめとした医療分野の国家資格を証明することができ、今後普及が期待されている電子処方箋の署名にも利用することができるものです。

この記事ではHPKIカードの概要や特徴、普及率や今後の展望について解説します。

HPKIカードとは

HPKIは保健医療福祉分野の公開鍵基盤(Healthcare Public Key Infrastructure)の略称で、HPKIカードは医療福祉分野の国家資格や管理者資格を証明するためのカードです。ICチップが搭載されており、電子証明書の役割を果たします

HPKIは医師をはじめ、厚生労働省が所管する27分野の医療系国家資格を証明することができます。HPKIカードを使うことで、資格証明が容易になるわけです。

HPKIカードの特徴・メリット

それでは、まずはHPKIカードの特徴について見ていきましょう。下記2点が、HPKIカードによってもたらされる主なメリットです。

①医師資格を容易に証明できる
②電子処方箋の発行や閲覧ができる

①医師資格を容易に証明できる

医師や弁護士、公認会計士のように、日本では有資格者しか携わることのできない業務があります。そのような業務を独占的に行える資格を「業務独占資格」と呼び、業務の際には該当する資格を持っていることを証明する必要があります。弁護士であれば、ひまわりとはかりがデザインされた弁護士バッジが有名でしょう。

医師はというと、資格の取得を証明できるのは「医師免許証」です。新しい勤務先で働く際、医師免許証のコピーを提示するよう求められたことがある方も多いでしょう。

しかし、医師免許証はサイズが大きく、持ち運ぶことは困難です。持ち運べば汚れてしまったり紛失したりするおそれもあります。HPKIカードであれば、運転免許証と同じサイズのため持ち運びが簡単です。医師の身分を容易に証明できることが、HPKIカードのメリットと言えます。

災害などの緊急時にも役立ちます。日本医師会は、災害医療チーム(JMATなど)での活動時にHPKIカードを携帯するよう推奨しています。

②電子処方箋の発行や閲覧ができる

HPKIカードにはICチップによる電子証明書が格納されていることから、これを利用して電子処方箋の発行や閲覧を行うことができます。

そのほか、「医師資格証向け出欠管理システム」が導入されている医師会では、カードをかざすだけで研修会などの受付手続きを行うことができます。受講履歴や単位についても、ポータルサイトで管理されます。

HPKIカードが発行されるまでの流れ

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続いて、HPKIカードを発行するまでの流れを見ていきましょう。以下の手続きを踏む必要があります。

  1. 申請書類を郵送する
  2. 発行時費用を振り込む(日本医師会非会員のみ)
  3. 発行完了通知(ハガキ)を受け取る
  4. 医師会でHPKIカードを受け取る

1.申請書類を郵送する

HPKIカードの申請時には、下記の書類が必要となります。簡易書留やレターパックなど、送達確認ができる郵便で発送しましょう。

  • 医師資格証発行申請書
  • 医師免許証コピー
  • 住民票
  • 身分証のコピー(運転免許証、マイナンバーカードなど)

2.発行時費用を振り込む

日本医師会会員は発行時費用が無料のためこのステップは省略可能ですが、非会員の場合は5,500円(税込)の手数料がかかります

3.発行完了通知(ハガキ)を受け取る

申請からしばらく経つと、『医師資格証発行完了通知』というハガキが連絡先住所に届きます。

4.医師会でHPKIカードを受け取る

2024年2月現在、HPKIカードは郵送での受け取りなどができないため、医師会にて対面で受け取る必要があります。この際、③で受け取った『医師資格証発行完了通知』と身分証が必要となるので、忘れずに持参しましょう。

申請からどのくらいで届くのか?

HPKIカードを申請してから手元にカードが届くまで、数カ月ほどの時間がかかります。以前、筆者も申請を行いましたが(2023年1月ごろ)、カードを申し込んでから実際に受け取り、使用可能になるまで3カ月ほど必要でした。現在は当時より時間が短縮され1.5~2.5カ月ほどで発送されるようですが、早めに申し込みを進めておくのがおすすめです。

HPKIカードのPINコードを忘れた場合はどうするか?

HPKIカードを利用する際は「PINコード」が必要となるのですが、これを忘れてしまう場合もあるでしょう。その場合は『医師資格証の暗証番号(パスワード)開示申請書』と、HPKIカードの表(おもて)面のコピーを郵送する必要があります。

その後、PINコードが記載された用紙が住民票住所に郵送され、確認できるという仕組みです。

PINコードを忘れてしまうと手続きに時間がかかってしまうので、なるべく忘れないようにメモしておくことが望ましいでしょう。

HPKIカードの現状と今後の展望

ここからは、HPKIカードの現状や今後の展望について見ていきましょう。

医師におけるHPKIカードの普及率

HPKIカードの普及率はどれくらいなのでしょうか。2024年2月時点では、まだまだ普及していないというのが現状です。

2023年12月25日時点の集計では、取得率は全医師の19.2%、日本医師会会員に限っても25.9%にとどまっています。

医師会会員と非会員で取得率に差があるのは先述のとおり、非会員だと取得時に5,500円の必要がかかることが影響していると考えられます。

また、現時点でHPKIカードの有効期間は5年間であり、5年経つと更新(カードの交換)が必要となることから、電子処方箋の活用方法が乏しい現状ですぐにHPKIカードを取得する動機に欠けることも、普及が進まない原因の一つでしょう。

今後は普及が期待される?

薬局 薬剤師 薬瓶

まだ普及が十分でないHPKIカードですが、今後電子処方箋とともに普及が進んでいくと考えられます。電子処方箋の署名(電子署名)にHPKIカードが使えるためです。

一方で、医師については2023年12月27日から、マイナンバーカードでも電子署名ができるようになりました。マイナポータルでの手続きは必要ですが、すでにマイナンバーカードを持っている医師であれば、新たにHPKIカードを取得するよりこちらを選択する方が良いかもしれません。

マイナンバーカードを作る予定がなかったり、持ち歩きに不安があったりする場合は、HPKIカードを用意するのが良いでしょう。

電子処方箋の導入と普及は、オンライン資格確認とならび、医療DXの柱として期待されています。電子処方箋によって、複数の医療機関・薬局にまたがる服薬情報を従来の紙処方箋よりも把握しやすくなるため、重複投薬の防止や併用注意・禁忌薬の発見など、医療の質向上に寄与すると期待されます。処方箋の紛失リスクの低下や、印刷に必要な資源・人員削減なども見込まれています。

電子処方箋の普及にあわせてHPKIカードを作るかどうかは、医師個人や所属先の方針によって判断が分かれると思われますが、先述したHPKIカードのほかのメリットも視野に、検討されることをおすすめします。

まとめ

今回はHPKIカード(医師資格証)について見てきました。小型で持ち運びが容易なことから、医師資格の確認に優れる点が大きなメリットです。

電子署名に使えることをふまえると、今後期待される電子処方箋の普及とともに、HPKIカードの普及率ももう少し高まっていくのではないでしょうか。医療DXの今後の展開に注目です。

Dr.SoS

執筆者:Dr.SoS

皮膚科医・産業医として臨床に携わりながら、皮膚科専門医試験の解答作成などに従事。医師国家試験予備校講師としても活動している。

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