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電話やビデオ通話などのオンラインで医師に相談できる、「オンライン医療相談」。診療ではなくあくまで相談やカウンセリングになりますが、症状があると感じたときや希望する治療法について知りたいと思ったとき、いつでも気軽に医師から回答をもらえるサービスとして人気が高まっています。
相談回答者である医師や看護師は、副業や現場以外で患者さまの声を聞くことができる機会として、オンライン医療相談を行うケースもあるかもしれません。
今回は、オンライン医療相談とはどのようなサービスなのか、その課題点や医師がオンライン医療相談を行う場合に気を付けたいポイントなどをご紹介します。
オンライン医療相談とは?
オンライン医療相談とは、電話やビデオ通話などのオンラインツールを使って、誰でも気軽に体調などの心配事を質問・相談し、回答をもらえるサービスです。遠方に住む人や、最近では新型コロナウイルス感染症の流行により、病院へ行くのをためらう方などからのニーズが高まっています。
回答者のなかには、医師のほかにも看護師や介護士など様々な医療職の方が在籍しています。LINEやチャットであれば、24時間365日いつでも相談できるケースもあり、回答する医療従事者は、自らの経験と知識をもとにアドバイスをします。
すでにオンライン医療相談を活用している医師も少なくありません。たとえば、医療脱毛などの自由診療では、独自にオンライン医療相談を導入しているクリニックは珍しくないでしょう。施術希望者はクリニックを訪れる前に、脱毛の痛みや使用する機器、施術後に気をつけることやトータルの金額などを確認、相談することができます。
また、複数の病院やクリニックが登録している総合的なオンライン医療相談サイトもあります。これは、ユーザーが悩みや健康相談について入力すると、対応している複数の病院や医師からアドバイスを受けられるというもの。医師の回答様式は、リアルタイムで1対1の相談を受ける通話やチャット、あるいは匿名の質問に対してあとから回答を提出する投稿型など、いくつか種類があります。
オンライン医療相談とオンライン診療の違い
では、オンライン医療相談とオンライン診療は具体的にどのように違いうのでしょうか。2018年3月に厚生労働省が改定した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」では、以下のように示されています。
遠隔健康医療相談
遠隔医療のうち、医師又は医師以外の者―相談者間において、情報通信機器を活用して得られた情報のやりとりを行うが、一般的な医学的な情報の提供や、一般的な受診勧奨に留まり、相談者の個別的な状態を踏まえた疾患のり患可能性の提示・診断等の医学的判断を伴わない行為。
オンライン診療
遠隔医療のうち、医師―患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為。
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オンライン医療相談とオンライン診療の違いとして、「相談者の個別の状態を踏まえて、具体的な診察や薬の処方を行えるかどうか」があります。つまり、オンライン医療相談はあくまで医療相談であり、診療行為ではないということ。そのためオンライン医療相談を行う際は、病院での診察を勧めるかたちに留め、医学的助言、受診が必要だと判断した場合でも、オンライン医療相談の延長線上で診療を行うことがないようにしましょう。
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オンライン医療相談のメリット・デメリット
前述のように、オンライン医療相談はあくまでも医療相談であり、診療行為は行えません。しかし、こうした気軽な医療相談を行うことによって、医療の需要と供給のミスマッチを事前に防ぐことができるメリットがあります。
たとえば、患者さまが自己判断で受診しに来たところ、実はほかの診療科の担当分野であったり、話を聞いたら施術をキャンセルしたくなった、といったことは各地の病院でも頻繁に起こっています。また、医療現場の業務過多を防ぐためにも、気軽に病院を訪れる患者さまの「コンビニ受診」への対応策にもなるでしょう。オンライン医療相談で事前に悩みや解決方法の方向性が定まってくれば、機会損失なく適切な医療にたどり着ける可能性もアップするはずです。
一方で、オンライン医療相談はオンライン診療との線引きが難しく、その限界と責任範囲を相談者に理解を促す必要もあります。また、相談者は自分や家族の不調を正確に把握して伝えられているかは定かでないため、医療相談のニーズを正しく満たせているか常に配慮が必要です。
オンライン医療相談の回答者を希望する場合の注意点
オンライン医療相談の回答者の具体的な業務は、健康や医療に関する相談の受付と回答です。ビデオ通話やチャットなどのリアルアイム相談のほか、LINE、メール、提示版を使ったQ&A方式での回答もあるので、ご自身にあったスタイルを選ぶとよいでしょう。
また、初期研修医が回答者になることはできませんが、専門医資格は必須ではありません。ただし、医師を回答者としているオンライン医療相談サービスの大半は、実名と医師経験年数、専門医資格などの情報が開示されますし、サービス会社の審査基準に満たなければ登録はできません。
また、専門科以外の質問に安易に回答するのは高リスクです。その場合、特定の医療機関への紹介を行う必要はありませんが、受診勧告としてどの診療科に行くとよいかなどの助言を行うようにしましょう。
医師としてオンライン医療相談に携わる場合のポイント
これまでもご説明した通り、オンライン医療相談は診療行為ではありません。そのため、相談者個人の体調をヒアリング(診断)して疾患名を伝えたり、処方箋を出したりすることはできません。ただし、一般的な症状に対する疾患名を列挙したり、一般用医薬品を使用する際の助言は可能です。
また、オンラインでの実施は通常の対面診療とは異なり、相談者の全体像が見えません。情報が不十分な場合は、オンラインのアドバイスで完結させようとせず、受診勧告を行うなどの対応が必要でしょう。また、患者さまの立場や心情にはいつも以上に配慮して回答することが求められます。
さらに、オンライン医療相談に使用するツールは、チャット、電話、ビデオ通話など様々な形式があります。通信環境やセキュリティ対策への整備も大切でしょう。
今後さらに需要は高まり、発展していくオンライン医療相談
自力で正しい医療情報を調べることが難しいと悩んでいる人はたくさんいます。オンライン医療相談は、何らかの症状に悩んでいる人と医療の場をつなぐ新しいかたちの医療サービスです。
現時点では医師の活動内容と責任範囲には限界がありますが、ニーズの高まりにあわせて今後は該当する専門医資格を持った医師だけが登録できるなど、より高精度な価値を提供できるサービスが出てくることも考えられます。
「対面ではないからできること」「対面ではないから気をつけなければいけないこと」など、オンラインの強みと弱みをよく理解したうえで活用すれば、ご自身の専門科の価値をより広く多くの人に届けられるツールとなるかもしれません。
ドクタービジョン編集部
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