勤務医が使える特定支出控除。そのうち「勤務必要経費」は年間いくらまで?

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公開日:2022.11.15

勤務医が使える特定支出控除。そのうち「勤務必要経費」は年間いくらまで?

勤務医が使える特定支出控除。そのうち「勤務必要経費」は年間いくらまで?

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    特定支出のうち勤務必要経費は、いずれも職務遂行に必要な支出として年間合計65万円を限度に認められています

    特定支出控除は、特定支出にあたる「通勤費・職務上の旅費・転勤に伴う転居費・研修費・資格取得費・単身赴任の帰宅旅費・勤務必要経費(上限65万円)」を合計したうち、給与所得控除額の2分の1を超過した金額が、特定支出控除額として給与所得控除に加算して収入から控除できる仕組みです。つまり、特定支出控除額だけ課税所得を減らせるため、節税効果が見込めます。

    給与所得控除額の2分の1を超える経費を支払っている勤務医は少なくないでしょう。しかし、実際にどのようなものが該当するのか、十分に把握できていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

    以下を参考に、ご自身の特定支出がどれくらいあるのか確認してみてください。

    【特定支出控除の対象(控除できる)】

    ・病院への通勤費、交通費、ガソリン代

    ・新幹線の料金

    ・転勤命令の転居に伴う宿泊代、引越代、高速代、ガソリン代

    ・学会、講演会への参加費と会場までの交通費

    ・白衣や手術着

    ・介護施設との連携で必要になる介護福祉士やケアマネの資格取得費

    ・単身赴任の自宅帰省費用

    ・医学書、新聞雑誌、(定期)刊行物などの購入費

    ・インターネット上の職務遂行に必要な有料記事購入費

    【特定支出控除の対象外(控除できない)】

    ・新幹線グリーン車の料金

    ・航空機ファーストクラス等の料金

    ・電気代等の水道光熱費

    ・インターネット回線使用料

    ・同僚や部下など病院内の親睦、結婚式など慶弔に関する支出

    ・電子版図書を閲覧するためのパソコン機器などの購入費

    ・自身が研究発表するために参加した学会において自己負担した旅費や宿泊費

    ・出退勤に着用する私服

    なお、勤務必要経費の適用を受けるためには、勤務先の病院から証明書を取り付ける必要があります。さらに特定支出控除を受けるには確定申告をして、特定支出に関する明細書及び給与の支払者の証明書、搭乗・乗車・乗船に関する証明書、支出した金額を証する書類を申告書に添付することを覚えておきましょう。


    重要POINT

    ・勤務医が申請できる勤務必要経費は、年間で65万円まで申請可能

    ・特定支出に該当するもの、しないものをしっかりと把握しておくことが大事

    ・勤務必要経費の適用には、勤務先から証明書を取り付ける必要がある

    ・確定申告時には、特定支出に関する明細書等の必要書類を添付すること

    長沼 満美愛

    監修者:長沼 満美愛

    ファイナンシャルプランナーCFP(R)・1級FP技能士

    神戸女学院大学卒業後、損害保険会社に就職。積立・年金・介護など長期保険に特化した業務を担当。そのあと、FP協会相談室の相談員として従事。現在、大学・資格の学校TAC・オンスク.JPにて資格講座の講師として活動するかたわら、セミナー講師や執筆も手がける。『あてるFP技能士1級』(TAC出版)を執筆。毎日新聞「終活Q&A」・みずほ銀行WEBサイトコラム寄稿。毎日新聞生活の窓口相談員。塾講師・家庭教師の豊富な経験を活かして、「誰でも分かるセミナー講師」・「親身なFP個別相談」をめざす。

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