日々の診療や研究、学会発表などで多忙を極めている医局勤務の先生。
「今の働き方、本当にこれでいいのだろうか?」
「もっと自分の専門性を活かせる場所があるのではないか?」
「ワーク・ライフ・バランスを改善したい」
そう思いつつも、転職活動に割く時間がないと悩んでいませんか?
この記事では、多忙な医局勤務医が限られた時間の中で効果的に転職活動を進めるための転職戦略を5つのステップで解説します。理想の働き方を実現するためにぜひ最後まで読んで実践してみてください。
【まずはここから!】医局勤務医の市場価値、平均年収は?自分のキャリアの可能性を知ろう
医局勤務から転職をする場合、真っ先に考えたいのが自分の市場価値です。正確に把握していないと転職が上手く進まなかったり、条件に合う求人が見つからなかったりする可能性があります。
とはいえ、実際に転職に成功している医師は多くいます。ケースバイケースにはなりますが、大学病院で働く医師は転職回数が少なく、民間病院や診療所で働く医師は転職回数が多い傾向です。
実際、医師の多くが5回程度の転職を経験しています。転職市場では転職の回数よりも転職の頻度を重視される傾向にあります。つまり、短期間で何度も転職を繰り返すよりも、一定期間同じ職場で経験を積むことを重視するケースがあります。そのため、転職を考える際には転職の頻度も気にしたが良いでしょう。
特に医師の転職市場は売り手市場の状態です。自分の市場価値を正しく理解して計画を立てて行動すれば、転職は難しくありません。
一方で首都圏などでは採用基準が厳しくなっている病院も増えています。そのため、専門医や認定医など専門性の高いスキルを持っておくと有利になります。厚生労働省の「令和4年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」によると、常勤求人の数が減り、アルバイト求人の数が増えているのが実状です。
医局から転職する場合、年収の違いも大きくなります。一般的に医局の場合、昇給できるかで年収が決まる傾向にありますが、病院勤務の場合は勤務年数やスキルが大きく影響します。病院勤務は、一般的に医局勤務よりも年収が高い傾向があります。そのため、年収面でより有利な条件を求める場合は、病院への転職も検討する価値があります。
医師も例外じゃない?情報収集で差がつく、転職活動の始め方
転職活動において最も重要なのは情報です。いかに情報を集められるかで結果が大きく変わります。そのため、スキマ時間を上手く活用して情報を収集していきましょう。
近年は雇用の流動化もあって、転職市場が活発化しています。以下のポイントを念頭に置くと効率化できます。
- 病院のリクルートページも確認する
- 複数の転職サービスを活用する
- 口コミサイトを参照する
これらはスマホがあれば簡単にできる情報収集の手段です。病院によっては自社のリクルートページにのみ採用情報を記載し、転職サービスには登録していないところもあるので、気になっている病院は実際にホームページを見に行くことをオススメします。
同様に情報源として口コミサイトの参照も重要です。医師からの口コミがなくとも、その病院で働いている看護師や事務員からの意見は、働く姿をイメージするための参考資料として大いに役立ちます。しかし、口コミサイトの情報は真偽が不明な場合もあります。正しい情報を得られるよう注意深く活用しましょう。
また、併せて転職サービスへも登録すると多くの求人情報を集められます。特にオススメなのは、以下のサービスを併用することです。
- 転職サイト
- 人材紹介会社
- 企業の情報を集めた口コミサイト
1つのサービスだけを利用するのではなく、併用して様々な情報を集めてください。転職への解像度が上がり、より自分に合った転職先を探しやすくなります。医師に特化した転職サイトも多いので、まずは登録してみると良いでしょう。
さらに、転職サイトと併せて活用したいのが人材紹介会社です。こちらの情報や希望を伝えるだけで、転職先を探してくれます。コンサルタントが自ら動いてくれるので、利用者は待っているだけでOKです。多忙でも転職活動ができます。
応募書類作成の秘訣!最小限の労力で高評価を得る方法
選考時に必要になる履歴書や職務経歴書は、自分をアピールできる唯一の書類になります。どのように作るかで選考の結果も変わるので、非常に重要です。
履歴書と職務経歴書には、作るコツがあります。履歴書の場合は学歴や職歴、資格などを正しい名称で書き、自身のアピールポイントが伝わる志望動機を書きましょう。履歴書の中で重視される項目なので、以下のポイントを意識しながら書いてみてください。
- 入職後どのような活躍をしたいのかが伝わる内容にする
- 応募先に応じて内容を書き換える
- 応募先の経営理念や診療方針をリサーチし、感銘を受けたポイントを盛り込む
- 自分を採用するとどのようなメリットがあるのかをアピールする
- 200文字~300文字を目安とし、記入欄の70%~80%を埋める
上記5つのポイントを意識しながら、キャリアプランに沿った志望動機を書くと効果的です。手書きの場合は履歴書を書いた後にコピーを取っておいてください。面接特に回答する内容と齟齬が出ないよう確認できる状態にしておくと、面接の準備がしやすくなります。
また、転職時には職務経歴書も求められます。職務経歴書は、応募者がこれまでに経験・獲得した業務内容や実績、スキルをわかりやすくまとめた書類です。ひと目でどのような能力を有しているのかがわかるようにまとめましょう。
履歴書と違い職務経歴書にはテンプレートがありません。自由にデザインできるので、以下の項目を盛り込みつつわかりやすく作成してください。
- タイトル(職務経歴書)
- 日付・名前・住所・電話番号
- 職歴
- 主な研究内容や論文など
- 自己PR
これらの情報があれば職務経歴書として十分です。テンプレートなども活用して見やすく書きましょう。
履歴書と職務経歴書の準備ができたら、送付状を同封して郵送します。同封している書類一覧と概要、採用担当者への挨拶を簡潔にまとめた内容で問題ありません。詳しくは「医師転職における履歴の書き方とは?基本的なルールと評価アップの技」で詳しく解説しているので、ぜひ確認してください。
もし自己PRで悩んだ場合は、これまでの経験や専門性に触れつつ、転職後に活かせる能力を記載すると効果的です。職務経歴書に書かれた内容を受けた上で自己PRを書くと説得力が生まれます。根拠もセットにして、採用する側が納得できる自己PRに仕上げましょう。
もし作成に困った場合は、転職エージェントへの相談がオススメです。履歴書や職務経歴書の作成サポートをしてくれるため、魅力的な書面を作れます。履歴書や職務経歴書でお悩みの方は、ぜひご相談ください。
医師の面接対策3選!忙しいあなたも実践できるポイント
転職の際に必ず通るのが、面接です。「面接って苦手なんだよなぁ」と思っている方も多いのではないでしょうか。
面接は自分という商品を売り込むための重要な機会です。適切にアピールできれば、好印象を持ってもらえ、転職成功に大きく近付きます。
そのためにも、以下の対策を実践してみましょう。
- スキルや経験をまとめておく
- 退職理由を掘り下げておく
- 意気込みをしっかり伝える
スキルや経験をまとめておく
面接の中で医療機関が注目しているのは、現在の職場でどれだけ戦力になっているかどうかです。自院で不足していたり求めていたりするスキルや経験があるのかを、必ず判断します。そうした際にアピールできるよう、スキルや経験を事前にまとめておきましょう。
併せて専門分野についてもまとめておくと効果的です。専門医や指導医の経験があれば、採用判断の材料として機能します。
さらに何かしらの学会会員や資格を取得しているのであれば、それもアピールポイントになります。面接時に伝えることで、必要なスキルや経験に関連性の高い学会での発表経験があると、自院に必要な人材かどうかを判断しやすくなるためです。
面接では何を質問されるかわかりません。咄嗟の質問にも答えられるように、事前にまとめておきましょう。
退職理由を掘り下げておく
転職時の面接で必ず質問されるのが、退職理由です。長く勤められそうかを確認するための問いになります。上手く答えられないと面接でお見送りになる可能性があるため注意が必要です。
退職理由で意識したい点は、ポジティブな回答という点だけです。キャリアに対して前向きな回答であれば、面接官に悪い印象を与えません。
以下のような言い換え例を参考にしてください。
- 上司や同僚と合わなかった
→新しい価値観のもとで医療のプロとしての知見を広げたい - やりたい治療をやらせてもらえなかった
→自分のスキルや経験を活かせる場を探したい - 給与面での不満があった
→子供の教育や親の介護にまつわる出費がかさみ、収入のベースアップが必要になった - 過労や重責が負担だった
→自分の体力や気力のキャパを鑑み、今後のキャリアを見直し必要があると感じた
本当だとしてもストレートに伝えては良い印象を持たれません。同じ意味を持たせつつ、ポジティブに言い換えると良いでしょう。
退職理由を掘り下げないでいると転職活動の説得力が失われるばかりか、採用側に「転職後も同じ理由で辞められるかもしれない」と思わせてしまいます。
面接前に退職理由を掘り下げ、説得力を持ったポジティブな回答ができるように対策しておきましょう。
意気込みをしっかり伝える
面接では意気込みを伝えることも大切です。特に志望動機と自己PRは必ず質問されるので、面接官にどうアピールするかがポイントになります。中でも以下は転職先への貢献意欲があると受け取られるため、重要です。
- 転職や業務への前向きな姿勢
- 具体的なキャリアパス
- キャリアアップへの意欲
- 仕事への熱意
仕事に対しての意気込みは、必ずチェックされています。能力が高くてやる気のない人間より、能力はないもののやる気のある人間の方が評価されるのが面接です。職場に与える効果も加味して考えられているので、わかりやすいくらいに意気込みを前に出して伝えてみましょう。
この際、転職理由や志望動機とキャリアパスに乖離が生じないよう注意が必要です。個人的な理由が先行しすぎていると、協調性がないと判断される可能性があります。具体的な数字を盛り込みながら意気込みを伝え、意欲の高さをアピールしましょう。
中でもオススメなのが、逆質問です。面接の終盤になると採用担当者から質問があるかどうかを聞かれます。以下のような質問を使って、業務への前向きな姿勢をアピールしましょう。
- 現在取り組んでいる新しい技術を使用した治療法を知りたい
- 患者さまへの対応で気を付ける部分があるか
- スタッフ同士や患者様へのコミュニケーションで大事にしていることは何か
業務に関連したものであれば、興味関心やモチベーションの高さが相手に伝わります。一方で待遇面ばかりを質問すると逆効果です。面接前に確認できる項目は質問しないようにしてください。
意気込みが相手に伝わるかどうかで評価が変わるので、大げさなほどアピールしましょう。
人材紹介会社を賢く活用!医師の転職を成功させる秘訣
転職活動をする際に活用したいのが、人材紹介会社です。多忙を極める医局勤務医でも、コンサルタントの力を借りることで転職成功の可能性を高められます。
そのため人材紹介会社選びが重要になります。コンサルタントによって常勤・非常勤といった勤務体系や地域による得手不得手、先生との相性もあるため、慎重に検討しましょう。
例えば人材紹介会社を選ぶ場合、以下のように進める方法がオススメです。
- 複数の人材紹介会社に登録する
- それぞれのコンサルタントと面談やコミュニケーションを取る
- 比較検討して最適な人材紹介会社を活用する
人材紹介会社の活用は無料なので、複数の人材紹介会社に登録し自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。特にコンサルタントとの相性は重要なポイントです。以下を意識しながら自分に合うかどうかを判断してください。
- 将来のキャリアパスを見据えてアドバイスをしてくれる
- 医療機関側の情報も詳しく知っている
- 内定後の雇用契約書等の各種手続きまでフォローしてくれる
逆に、膨大な求人情報を送りつけてきたり、希望していない求人ばかり紹介したりしてきた場合は要注意です。そのような場合には別の人材紹介会社を利用するなどして、自分に合った活用方法を見つけてください。
人材紹介会社は、転職に関する様々なサポートをしてくれる存在です。履歴書・職務経歴書の添削や面接対策を始め、日程調整や転職先との条件交渉などサポート内容は多岐に渡ります。活用することで多忙な毎日でもスムーズに転職活動を進められるでしょう。転職を考える際は、利用をオススメします。
転職サービスを利用するメリット
医師が転職サービスを利用すると、以下のようなメリットを得られます。
- 仕事選びの選択肢が大幅に増える
- 医療機関の内部事情を教えてもらえる可能性がある
- 事務的な作業や求人作業を代行してもらえる
- 条件確認や条件交渉を代行してもらえる
- 雇用契約の書面作成をしてもらえる
- 退職に関するアドバイスや入職後のフォローをしてもらえる
特に大きいポイントが、仕事選びの選択肢が大幅に増える点です。病院やクリニック、転職サイトで公開されている求人だけでなく、非公開求人までわかるので転職活動の幅を広げられます。また、非公開求人の方が条件の良いケースも多いため、年収アップやキャリアアップにも期待できます。
転職活動で重要になる履歴書や職務経歴書といった書面作成のサポートや、条件確認・条件交渉まで幅広くサポートしてくれるのもメリットです。
1人だけで転職活動をさせるのではなく、二人三脚で転職成功へと向かうパートナーを得られるサービスといえるでしょう。
理想の働き方へ、戦略的に行動しよう
今の働き方に少しでも疑問を感じているのなら、転職のチャンスかもしれません。現状で頑張るよりも転職をして新天地に行く方が、理想の働き方を実現できる可能性が高くなります。
転職を考える際は、将来のキャリアプランも見据えた上で戦略的に行動することが大切です。年収アップやワーク・ライフ・バランスの改善など、実現したい姿から逆算して転職活動を進める必要があります。そのためには魅力的な求人を探すのはもちろん、履歴書や職務経歴書の作成や面接対策まで、様々なことをこなさなければいけません。
忙しい日々の中でなかなか時間が割けない場合は、転職サービスの利用も検討してみましょう。自分の希望に沿った求人の紹介や書面の添削など充実したサポートを受けられます。転職を検討している先生は、ぜひ1度お気軽にご相談ください。