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医師として働くにあたり、まず医局に所属するという方は多くいます。しかしさまざまな理由から、医局を辞めることを考えている方もいるのではないでしょうか。この記事では、円満に医局を辞めるための切り出し方や、辞めるタイミングは何年目が良いのかなど、気になるポイントを解説します。
医局を辞めたいと思ったら
医局に所属している医師が医局を辞めることは、医師としてのキャリアに大きな影響を及ぼします。
まずは一度立ち止まって、「医局を辞めたい」と感じる理由は何かを明確にし、それが辞めることで解消されるのか、しっかりと考えましょう。
辞めることのメリット・デメリットも考慮し、今後どうしていきたいか、自分のキャリアプランや理想の働き方と照らし合わせて考えることも大切です。
医局に所属することで得られるメリットは数多くあります。医局を離れればそれらを失ってしまうため、慎重な検討が必要です。以下で一緒に考えていきましょう。
医局を辞める理由の整理
まずは、医局を辞めたい理由を整理しましょう。医局にいることをネガティブに感じる原因は何か、辞めてどうなりたいのかという2つの面から考えます。
医局を辞めたい理由を整理する
医局を辞めたいと思う理由や心情を書き出してみましょう。
【医局を辞めたいと感じる理由の例】
- 給与が業務量に見合わない
- 人間関係に疲れた
- 遠方への異動(引っ越し)など、医局人事を避けたい
- 担当オペ数に制限がある
- 新しい環境で仕事がしたい
医局では重症度の高い患者さまが多いため、高い専門性を求められたり、業務が多様になったりと、医師の仕事量や拘束時間が増える傾向にあります。研究に従事することもあり、医局での勤務を激務と感じる方は少なくありません。一方で給与は市中病院と比較すると安く、かける労力に見合わないと感じる方もいるでしょう。
人間関係に悩む方もいます。患者さまやそのご家族への対応のほか、同僚や上司とのやり取りなど、さまざまな人に気を遣う場面が多くあります。ただし、人間関係の悩みは医局という環境や医師という職業に限りません。そのため医局を辞めることで人間関係の悩みから解放されるとはいえませんが、今いる環境の人間関係に不満があるのであれば、医局を離れる決断の理由になるでしょう。
そのほか、異動が多く生活環境が安定しない、担当オペ数の制限があるため思うように経験が積めないなど、人によってさまざまな理由が考えられます。何が原因で辞めたいのか、それは医局を辞めることで解決される問題なのか、じっくり考えてみましょう。
医局を辞めてどうなりたいかを整理する
次に、自分がどのように働いていきたいかを整理します。
【医局を辞めてどう働きたいかの例】
- プライベートを充実させたい
- もっと給与の高い職場で働きたい
- 患者さまともっと向き合える職場で働きたい
- 異動の少ない職場で働きたい
- 多くの症例に触れたい
医師は働き方が不規則になりやすい職業ですが、プライベートを優先したいと考える医師も少なくありません。
「プライベートを充実させたい」という思いを具体的な勤務条件に落とし込むと、「休暇をとりやすい」「当直やオンコールがない」などが考えられます。抽象的な思いを具体化し、どう働きたいのか、どのような勤務環境が良いのか、考えてみましょう。
また、患者さまと向き合う時間を増やしたい、異動の少ない職場で安定した生活環境を確保したい、多くの症例に触れてスキルアップしたいなど、あらゆる角度から希望を挙げることも大切です。仕事への取り組み方や、生活環境を考慮した働き方をイメージすることで、今後の転職に役立ちます。
転職した際、新たな職場で同じようにつらい思いをしないためにも、どのような働き方をして、どんな医師になっていきたいのかを明確にしましょう。
医局を辞めるメリット
医局を辞めるメリットには、大きく分けて以下の3つがあります。
- 自分のペースに合った働き方ができる
- 患者さまと向き合う時間が増える
- 納得のいく勤務条件の職場を探すことができる
自分のペースに合った働き方ができる
医局には実臨床だけでなく、研究や学会準備、医局の行事など、特有の業務があります。通常の業務に加えて医局ならではの業務が重なると、プライベートの時間の確保が難しいこともあります。「自分のやりたいことに集中したい」「仕事とプライベートの両立をしたい」という方にとっては、医局を辞めることでそのような業務から解放されるのは魅力の一つでしょう。勤務条件にこだわって転職することで、自分のペースや目標に合う働き方に近付くことができます。
患者さまと向き合う時間が増える
研究に従事できることは、医局に所属するメリットの一つです。しかし、研究より実臨床で経験を積んでいくことを優先したい方も多いでしょう。
医局ならではの業務がないことで、目の前の患者さまと向き合う時間を確保しやすくなります。それにより、臨床の質を高めること、患者さまの満足度を上げることに専念しやすくなると言えるでしょう。
納得のいく勤務条件の職場を探すことができる
給与が仕事量や拘束時間に見合わないという悩みは、医局を辞める際によくある理由の一つです。また、医局には「医局人事」が付きもの。異動を繰り返すことも少なくありません。
自分に合った勤務条件で働くためには、給与や仕事量、今後のライフプランなどを総合的に考慮することが大切です。医局にこだわらずに勤務先を探すことで、納得のいく条件の職場に出会える可能性があります。
医局を辞めるデメリット
医局を辞めるデメリットには、大きく分けて以下の3つがあります。
- 専門医や学位の取得が難しくなる
- 基礎研究や留学、高度な臨床経験を積む機会が減る
- 人脈の幅が狭まる
専門医や学位の取得が難しくなる
専門医を取得するには、日本専門医機構や各学会が定めるプログラム(またはカリキュラム)を受ける必要があります。プログラムを実施している施設は医局以外にもありますが、確実性が高いのは大学の医局です。
また、医学博士の取得を目指す場合は、医局(大学・大学院)に所属することが必須となります。
専門医や学位の有無は、キャリア形成に大きな影響を及ぼします。取得を目指している資格がある場合は、医局を辞めるかどうかは慎重に判断した方が良いでしょう。
基礎研究や留学、高度な臨床経験を積む機会が減る
医局は臨床経験を積めることはもちろん、研究や留学がしやすい環境が整っています。基礎研究を行うための専用の設備が整っているほか、海外の研究室に留学して研究を深める際にも、医局の教授の影響力やコネクションを頼ることができます。
また、医局を抱える大学病院などでは、専門性の高い疾患の症例を扱う機会が多くあります。医局を辞めることで最先端の臨床経験を積む機会が減ることは、人によっては大きなデメリットになると言えます。
人脈の幅が狭まる
医局にはさまざまな医師が所属しています。臨床・研究ともに優秀な人材が集まりやすく、学会などで大きな影響力を持つ医師も多いです。そのような人たちと関わることで、切磋琢磨したり人脈を広げたりすることができ、今後のキャリア形成に役立つと言えます。
医局を離れると、こうした人脈によって得られる経験・機会が減ってしまう可能性があるため、デメリットの一つと言えるでしょう。
医局を辞めるタイミング
円満な退局を目指すには、医局人事が決まる時期、つまり医局の人員が増えるタイミングでの退局が望ましいです。
一般的には、年度の変わり目である3月末に退局し、次年度から新しい勤務先で働く形が良いと言えます。医局によっては9~10月に人事異動が行われるため、そのタイミングでの退局が望ましい場合もあります。
退局するタイミングも大切ですが、伝えるタイミングも大切です。次の段落で詳しく解説します。
医局を辞める際の流れ
医局を辞める際は、下記の流れで進めるのがおすすめです。
1.転職先を探す
2.退局の意思を伝える
3.退局する
1.転職先を探す
働き方についての自己分析が完了したら、退局の意思を勤務先に伝える前に、まず転職先を探しましょう。退局を申し出る半年~1年くらい前から、余裕を持って転職先を探すのが理想です。
2.退局の意思を伝える
医局人事が決まる半年前には、退局の意思を勤務先に伝えましょう。
人事は早い時期から水面下で決まっていることもあります。早めに伝えることでトラブルを避け、周囲への負担も軽減することができます。
3.退局する
年度末に退局し、4月から新しい勤務先に入職するのが一般的です。医局によっては秋(9~10月)に人事異動があるため、その時期の退局を選択できる場合もあります。
医局を円満に辞めるための切り出し方
医局を辞めるにあたり、周囲とのトラブルは避けたいところです。ここでは、医局を辞める話の切り出し方について解説します。
【医局を円満に辞めるための切り出し方のポイント】
- 一番身近な上司、医局長、教授の順に伝える
- 退局理由はポジティブな内容にする
- 退局までの期間に余裕を持つ
一番身近な上司、医局長、教授の順に伝える
上司に退局を伝えるときは、伝える順番に注意しましょう。
まずは一番身近な上司、次に医局長、教授、その後にほかの方々という順番で伝えるのが一般的です。トラブルを避けるため、最初に退局を伝えるのは人事に関わる最小限の人たちとし、医局長や教授に伝えるまでは、ほかの人には話さないようにしましょう。
退局理由はポジティブな内容にする
退局理由は、待遇や勤務環境の不満などのネガティブな内容は避けましょう。医局とのトラブルの元になる可能性があります。下記のような、「やむを得ない理由」「理解されやすい理由」がおすすめです。
【退局理由の例】
- 育児や介護に専念する必要がある
- 地元に帰る、結婚相手の勤務先付近で生活する
- 開業する、実家のクリニックを継ぐ
- 転科する
退局までの期間に余裕を持つ
退局の申し出は余裕を持って、早めに伝えることが大切です。
ただし、早めに切り出したとしても、その後の話し合いがスムーズに進展しないこともあります。新しい勤務先で働くまでのスケジュールを事前にしっかりと立て、自ら計画的に進めるようにしましょう。
医局の辞め方に関するQ&A
医局の辞め方に関するよくある質問に回答します。
Q:医局を辞めるなら、専門医を取得してからが良い?
A:取得の意思がある場合は医局に残った方が良いですが、キャリアに必要がなければ取得せずに辞める判断も可能です。
専門医は医局でしか取得できないわけではありません。一部の市中病院でも専門医の取得を目指すことは可能なため、早期に医局を辞めて、別の病院で専門医取得を目指すこともできます。
しかし、すでに医局に所属しており、日本専門医機構や学会のプログラムを受けているのであれば、最短かつ確実な取得を目指して、そのまま医局に残った方が良いでしょう。
一方で、専門医の取得や更新には、時間と費用がかかります。将来やりたいことや求める働き方が専門医資格を必要としないのであれば、無理に専門医を取得せず、早めに医局を辞めることも選択肢の一つです。
取得するかしないかは自分のキャリアプランに沿って決めれば良く、医局を辞めるタイミングもあわせて検討すると良いでしょう。
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Q:医局を辞めるなら、何年目が良い?
A:専門医を取得する場合は、「取得後すぐ」が最初のタイミングとなります。
一概に何年目が良いか決めることは難しいため、ここでは医局所属年数ごとの主な退局理由を整理しました。自分のキャリアプランや働き方に一番近いケースを参考にしてください。
※医局所属年数には専門研修(専攻医)期間を含みます。
専門医を取得する前に医局を辞める場合
医局所属年数 | 3~5年 |
---|---|
退局の主な理由 | ・働き方を変えたい ・別の科へ進みたい |
ある程度医師としての経験を積んでいながらも、重要なポジションに就く前の段階です。医局を離れやすく、転職にも大きな問題が無いタイミングと言えます。
別の働き方をしたい、転科したいなど、辞める理由がはっきりしている場合は、早期に転職を検討して良いでしょう。
専門医を取得した後に辞める場合(取得後すぐ)
医局所属年数 | 5年以上(科による) |
---|---|
退局の主な理由 | 専門医資格を活かして、別の働き方がしたい |
専門医資格の取得には、専門研修(専攻医)も含めて5年以上の期間が必要です。専門医の取得を目指して医局に入った方にとっては、「専門医取得後すぐ」が最初の退局のタイミングとなるでしょう。専門医を取得しておけば、転職活動も有利です。
一方で、専門医を取得した医師は、医局にとっても簡単に辞めてほしくない人材のため、円満に退局するには工夫が必要です。ポジティブな理由を提示した上で、上司とよく相談するようにしましょう。
専門医を取得した後に辞める場合(経験を積んでから)
医局所属年数 | 10年前後 |
---|---|
退局の主な理由 | 人によりさまざま |
専門医取得だけでなく、臨床での知識・経験を多く積みたい人におすすめのタイミングです。専門医資格を持っており、かつ十分な知識・経験を持っているため、今後納得のいくキャリア形成がしやすいと言えます。
たとえば、勤務医として自分の働き方に合った転職先を探したり、専門性を活かして開業を目指したりすることが可能です。選択肢の幅は広いでしょう。
医局を辞めたい理由、メリット・デメリットをしっかりと整理しよう
医局を辞めることは、自身のキャリア形成にとっての大きな転機です。
まずは医局を辞めたい理由、辞めた後はどのような働き方がしたいのかなど、自己分析を徹底しましょう。その上で医局を辞めることのメリット・デメリットと照合し、自身にとって最適なタイミングを選択することが大切です。
医局を辞めることが決まったら、希望の働き方、今後のキャリアプランをふまえて、納得のいく転職先を探しましょう。その際は、知識が豊富なプロと共に転職活動を進めることをおすすめします。ドクタービジョンでは、全国の病院に関する豊富な情報をそろえています。経験豊富なコンサルタントが、転職活動を完全無料でサポート。お一人おひとりに寄り添い、仕事探しをお手伝いします。転職をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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