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医学部進学などを支えてきてくれた親が将来一人になったとき、同居や扶養に入れることを選択肢に持っている医師もいらっしゃるでしょう。まず、親を扶養に入れる場合には、「税法上の扶養」と「健康保険上の扶養」を分けて考えます。
税法上の被扶養者の要件は、以下となります。
・納税者本人と生計を一にしていること
・年間の合計所得金額が48万円以下であること
たとえば、医師である父が亡くなった後、一人になった母親を想定するとします。
母親(73歳)の収入が公的年金のみである場合は、年金収入158万円以下であれば扶養に入れることができます(遺族年金は非課税であるため、年金収入に含みません)。70歳以上の同居する親を扶養すれば、所得税の計算において控除額は58万円です。税額を計算する過程で扶養控除を適用できるので、節税につながります。
なお、別居の場合に「生計を一にしている」といえるのは、納税者本人から親へ生活費や療養費等の送金が常に行われている事実がある場合です。
次に健康保険上の被扶養者の要件は、以下です。
・被保険者本人と生計を一にしていること
・親の年間収入金額が180万円未満かつ被保険者本人の半分未満であること
メリットは、親の健康保険料の支払いが免除されることです。デメリットは高額療養費制度(※1)において、被保険者本人の所得で自己負担限度額の区分が決定するため、医療費の負担が重くなることです。
なお、65歳以上の親を扶養する場合、介護保険料は免除されず、親が納付します。介護保険料は世帯所得で計算されるので、「扶養に入れると保険料が上がる」ということを心得ておきましょう。
また、75歳以上になると後期高齢者医療制度(※2)に加入するため、健康保険上の扶養から外れます。後期高齢者医療制度には、扶養の概念がありません。
医師になるために、これまで経済的にも支援してきてくれた親への感謝はもちろんあるでしょう。同居することでケアが行き届くようになるうえ、扶養に入れた場合は税法上または健康保険上のメリットを享受できます。ただ一方でデメリットもあるため、さまざまな要素をふまえたうえで総合的に判断しましょう。
※1...高額な医療を支払った場合に、1カ月あたりの自己負担限度額を超えた分が払い戻される制度
全国健康保険協会『高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)』
※2...75歳以上の者と一定の障害があると認定された65歳以上の者が加入する公的医療制度
厚生労働省『後期高齢者医療制度について』
国税庁『No.1182 お年寄りを扶養している人が受けられる所得税の特例』
国税庁『No.1180 扶養控除』
全国健康保険協会『被扶養者とは?』
全国健康保険協会『被扶養者資格の再確認とご提出のお願い』
後期高齢者医療制度 / よくある質問-被保険者について
知るぽると『介護保険制度のしくみ』
重要POINT
- ・税法上の扶養では、70歳以上の親を扶養した場合に58万円の控除が受けられる
- ・別居の場合でも、納税者本人から親へ生活費や療養費等の送金が常に行われている事実があれば適用可能
- ・健康保険上の扶養では、健康保険料の支払いが免除となるが、医療費の負担が重くなることに注意が必要
- ・メリットとデメリットを確認したうえで総合的に判断することが大切
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