総合診療医の年収は?専門医取得後のキャリアパスについても解説

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公開日:2021.05.20

総合診療医の年収は?専門医取得後のキャリアパスについても解説

総合診療医の年収は?専門医取得後のキャリアパスについても解説

臓器にかかわらず様々な身体や心の問題に対して診療する総合診療医。「患者さまファースト」を鑑みると、大病院での窓口や地域の医療機関で高いニーズがあり、その役割は今後ますます重要なものとなってきます。

こちらでは、総合診療医の平均年収、具体的な仕事内容、専門医取得後のキャリアについてご紹介します。

総合診療医の平均年収は?

総合診療医の平均年収は?

総合診療医の平均年収は1,617万円。全診療科目の平均年収1,596万円(※)よりも高い水準となっています。ちなみに総合診療科とオーバーラップする部分も大きい総合内科の平均年収は1,605万円です。

また、東京都の総合診療医の平均年収が1,578万円であるのに対し、北海道では2,077万円、愛媛県、高知県、徳島県では1,950万円となっており、地方に高い給与水準の求人が多くあります。

2018年度からは日本専門医機構による「総合診療専門医」の養成も始まり、転職先として希望する医師の数は増加傾向にあります。

※2020年10月時点のドクタービジョン掲載求人をもとに平均値を出しています

総合診療医の仕事内容について

総合診療医の活躍の場

総合診療医は、患者さまの心身の健康、家族関係、就労・経済状況などを多角的に診て、あらゆる専門医や院内ケースワーカーなどと連携してその解決にあたります。複数の病気がある人に対しては、個々の病気を切り離して診るのではなく、病気の相互作用を考えながら全体を診断します。

今後さらに変化し、複雑化する疾病構造と多様化する国民ニーズのなかでは、病気の治療のみならず、社会的、精神的なサポートの必要性が増していきます。この分野にこそ、総合診療医の活躍の場があると考えられているのです。

また求人情報においては総合診療医のほか、プライマリケア指導医、家庭医療専門医、総合内科医といった表現が用いられることもあります。

離島・へき地で必要とされる総合診療機能

離島・へき地では、高齢化に伴って医療・介護リスクが高まる一方、医療・介護人材の不足が全国的に深刻化しています。このため、多くの離島・へき地では少ない医療職が地域医療全般を担っており、一般的なプライマリ・ケアの提供はもちろん、多様な健康問題に幅広く対応することが求められています

必要とされている総合診療機能は、設置されているへき地医療機関の規模や立地環境などによっても異なりますが、厚生労働省の研究班による「へき地・離島医療マニュアル」に対応すべき業務として診療科・分野を超えた幅広い診療や在宅医療、予防医療や検診、住民への指導・教育、介護関連業務などが挙げられています。

また、オンライン診断が認められつつも、医師が常駐していない地域への出張診療や巡回診療といった直接診療も重要な業務であり、緊急時にはドクターヘリなどによる患者搬送にも対応する必要があります

専門研修後に目指すべき姿

専門研修後に目指すべき姿

領域別専門医が「深さ」が特徴であるのに対し、総合診療医は「扱う問題の広さと多様性」が特徴となっており、専門研修では以下の7つの資質・能力を獲得することを目指します。

  • 1.包括的総合アプローチ
  • 2.一般的な健康問題に対する診療能力
  • 3.患者中心の医療・ケア
  • 4.連携重視のマネジメント
  • 5.地域包括ケアを含む地域志向アプローチ
  • 6.公益に資する職業規範
  • 7.多様な診療の場に対応する能力
  • 出典:日本専門医機構「総合診療専門研修プログラム整備基準」(2018)

    また、総合診療医は単に医療の総合性のみならず、介護や生活の総合的な支援のためのネットワークをもつことが求められます。そのためにも、サービスを提供する地域のデータに関心を向け、その積極的な活用を行う力が必要となります

    専門医取得後のキャリアパスについて

    一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会では、関連する学会や団体と連携しながら、総合診療専門医研修後にも以下のようなキャリアパスを示しています。

    ●新・家庭医療専門医
    国際標準の高い専門性と学術性を備えた家庭医

    ●病院総合診療専門医
    病院で高い総合診療能力を発揮する病院総合医

    ●ほかのサブスペシャルティ専門医(在宅医療・緩和など)
    高い総合診療能力をベースに特定の領域を深めた医師

    また、総合診療医を目指すうえで大切なことや、診療医として働く場合のメリット・デメリットなどについて以下の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

    年収アップを狙うなら転職コンサルタントへの相談もおすすめ

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    ドクタービジョン編集部

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