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2018年4月からスタートした新専門医制度。各学会が独自の基準で認定していた「専門医」の質を画一化し、より良い医療を国民に提供することを目的に定められた制度で、基本領域とサブスペシャルティ領域の"2階建て"構造が特徴の一つです。
多岐にわたるサブスペシャルティ領域をどのように選択すれば良いか悩む方も多いでしょう。今回はサブスペシャルティ領域の制度や選び方を詳しく解説します。
サブスペシャルティとは?
サブスペシャルティは「専門性」、すなわち各診療科の下に連なる細かな専門分野を指します。
これまで、専門医は各学会が独自の選考基準によって認定していました。近年は学会も細分化され、専門医の種類は100以上にのぼっています。選考基準は学会ごとに大きな差があり、「専門医」と言ってもその質は大きく異なるのが現状でした。
そこで2011年に「専門医の在り方に関する検討会」が発足し、中立的な立場で専門医認定のプログラムや試験を定める第三者機関「日本専門医機構」が設立されました。
日本専門医機構が認定した研修プログラムや試験にパスすることで、初めて専門医資格が授与されることになったのが、2018年に運用が始まった専門医制度(いわゆる新専門医制度)です。すべての学会で画一した質の専門医を養成することを目的としています。
19の基本領域と24のサブスペシャルティ領域
前述のとおり、新専門医制度は「基本領域」と「サブスペシャルティ領域」の"2階建て"構造になっているのが大きな特徴です。
多くの医師は、2年間の臨床研修を終えると、19個ある「基本領域」の専攻医となります。3~4年の研鑽を積んだ後、基本領域の専門医資格を取得。その後、基本領域と関係のある「サブスペシャルティ領域」の専門医資格取得を目指してさらなる研鑽を積んでいくことになります。
2024年6月末現在、サブスペシャルティとして24領域が認定されています(2022年4月1日認定)。
内科領域 | 消化器内科 循環器内科 呼吸器内科 血液 内分泌代謝・糖尿病内科 脳神経内科 腎臓 膠原病・リウマチ内科 アレルギー 感染症 老年科 腫瘍内科 肝臓内科(補完研修方式) 消化器内視鏡(補完研修方式) 内分泌代謝内科(補完研修方式) 糖尿病内科(補完研修方式) |
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外科領域 | 消化器外科 呼吸器外科 心臓血管外科 小児外科 乳腺外科 内分泌外科 |
放射線科領域 | 放射線診断 放射線治療 |
日本専門医機構webサイト「日本専門医機構認定サブスペシャルティ領域一覧」をもとに診療科領域ごとに編集
https://jmsb.or.jp/subspecialty/(2024年7月2日閲覧)
サブスペシャルティの決め方
サブスペシャルティ領域の専門医を取得するには、その領域と関連する基本領域の専門医資格を取得していることが必須です。
進みたいキャリアに応じた基本領域の選択がカギ
たとえば、将来的に循環器内科医としてカテーテル治療を専門にしたい場合は、まず内科専門医を取得しておく必要があります。基本領域で麻酔科や整形外科を選択していると、サブスペシャルティとして循環器を選択することはできません。
一方、基本領域で内科を選択した場合は、放射線科や外科関連のサブスペシャルティ領域を選択することはできなくなります。基本領域を決めた時点で、将来の専門分野やキャリアがある程度決まるのです。
学生や研修医の段階から、医師としてどのようなキャリアを築くかイメージし、自身が描くキャリアに沿った基本領域を選択できるようにする必要があるでしょう。
「連動研修」で早期からサブスペシャルティを学ぶ手も
新専門医制度によって専門研修の質が画一化された一方で、サブスペシャルティ領域の専門医資格を取得するまでに時間がかかることを懸念する声もあります。
以前の専門医制度では、臨床研修が修了した医師は循環器内科や呼吸器内科など細分化された診療科に所属し、専門医取得に向けて研鑽を積むことができました。しかし新専門医制度では、臨床研修の後はまず基本領域の専門医取得を目指す必要があるため、内科系であれば消化器や循環器、呼吸器などの研修も受けなければなりません。基本領域の専門医を取得して初めてサブスペシャルティ領域、すなわち循環器内科や呼吸器内科の研修を受けられるのです。
この"2階建て"構造は医師として一人前になるまでに長い時間がかかり、「専門性の高い医療を国民に提供する期間が短くなる」とも指摘されています。そのため2020年には、早い段階からサブスペシャルティ領域の研修を基本領域と並行して実施できる「連動研修」が認められることになりました。
2024年6月現在、サブスペシャルティの15領域で連動研修が認められています。医師としてのキャリアプランが確立している場合は、連動研修を受けることができる研修施設を選ぶのもおすすめです。
ただし、明確なビジョンが定まっていない場合は、焦って連動研修を選ばないよう注意しましょう。専門性の転換が困難になるためです。まずは基本領域の研修にしっかり取り組み、ゆっくりとサブスペシャルティ領域を決めていくようにしましょう。
サブスペシャルティの取得は必須?
サブスペシャルティ領域の専門医は、医師として高い専門性を担保する資格でもあります。今後求められる場面も増えていくでしょう。
しかし新専門医制度では、幅広い疾患のプライマリ・ケアに携わる医師の養成を目的に、総合診療の専門医資格が新たに設けられました。こうした構想とサブスペシャルティの概念は、相容れないという声も上がっています。
また、現時点でサブスペシャルティ領域が認定されていない基本領域も少なくありません。
こうした点を考えれば、医師として勤務していくうえでサブスペシャルティ領域の専門医資格が必要ではないケースも数多くあると考えられます。
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複数のサブスペシャルティの取得は可能?
選択する基本領域やサブスペシャルティ領域によって、複数のサブスペシャルティの取得が可能なケースと困難なケースがあります。
たとえば、肝臓内科は特殊な疾患を扱うケースが多いとされ、厚生労働省は少なくとも1つのサブスペシャルティ領域を取得した後に研修を行うことが適当との見解を示しています(補完研修方式)。内分泌代謝内科と糖尿病内科は、実態として両者を合わせて標榜するケースが多いことから、両者を「連動研修を行い得る領域」として集約しているほか、少なくともどちらか1つのサブスペシャルティ領域を取得した後に研修を行うことが適当としています(補完研修方式)。
放射線領域に関しては、従来の専門医制度同様、放射線診断・放射線治療いずれかの専門医資格のみ取得可能です。
新専門医制度は途上段階 最新情報のキャッチアップを忘れずに
2018年からスタートした新専門医制度。この制度の下で「新専門医」になり、新たにサブスペシャルティの選択に向けて悩んでいる医師の方も多いことでしょう。サブスペシャルティの選択は医師としての未来をある程度決定するものとなります。後悔のないよう、学生や研修医の段階からキャリアを見据えておくことが大切です。
新専門医制度には課題も指摘されていますが、連動研修が認められるなど、日々改善もされています。領域の選択はご自身の将来に関わることですから、慎重に吟味し、制度の変更点などの情報も敏感にキャッチするようにしましょう。
サブスペシャルティ領域について|日本専門医機構
医師専門医制度ホームページ|厚生労働省
医道審議会(医師分科会医師専門研修部会)|厚生労働省
監修者:中山 博介
神奈川県の急性期病院にて、臨床医として日々研鑽を積みながら医療に従事。専門は麻酔科であり、心臓血管外科や脳神経外科・産婦人科など幅広い手術の麻酔業務を主に担当している。
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