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一昔前は医師の就職に大きな影響を与えていた医局。しかし現在ではその影響力は徐々に低下してきています。昔は初期研修医がほぼ医局に所属していましたが、今では70%程度まで低下してきているという話も聞きます。
ただし徐々に影響力が低下してきているとはいっても、いまだその影響力は大きなものです。医局に所属することによるメリットは多くあります。そのメリットを捨ててまで医師が医局を辞める理由には、どんなものがあるのでしょうか?
1:医局をやめるデメリットとは?
医局を辞める理由の前に、医局を辞めてしまった場合のデメリットについて再確認しておきましょう。医局を辞めてしまうと閉ざされてしまうルートもいくつかあります。
【デメリット1】教授職になれなくなる
大学で講義を行う教授、准教授、講師、助教などといった職業は、医局に所属していないとなることができません。将来的に医療行為とともに教鞭を取りたいという医師は、医局を辞めることができなくなります。一方で40歳になるころには、医局内で自分がどの程度出世できるかは大体は分かるようになりますので、そのタイミングで教授職を諦めて医局を辞めていく医師もいます。
【デメリット2】研究がしづらくなる
大学病院はその性質上、希少な症例を多く経験することができます。医師として研究を深めて、論文発表などをどんどんしていきたい場合、医局に属していた方がやりやすいと言えるでしょう。市中病院でも研究や論文発表をすることは可能ですが、症例も少なく環境も臨床を重視してしまう傾向にあるので難しくなります。
【デメリット3】医師としての海外留学
日本の医師免許は海外で使用することができません。そのため、海外の研究室に留学して研究を深めるには、医局の特に教授の影響力やコネクションが必要になります。もし個人の力で海外留学をかなえようとするならば、その国の医師免許を取得する必要があり、現実的ではありません。
2:医局を辞める理由とは
このように医局にいることで享受できるメリットもあります。それでも医局を辞める理由には、以下のようなものがあります。
人間関係
一般的な市中病院と比べると、医局は所属している医師数が多いことがほとんどです。もちろんすべての人と関わりを持つわけではありませんが、必然的に幅広い人達と接することになります。そんな中で出世をしていくためには医局の上位層と良好な関係を築くことが必要となり、医局内でのグループ・派閥といった人間関係に居づらさを感じて大学病院を離れる医師もいるようです。
担当オペ数に制限がある
大学病院には多くの医師が在籍しています。それに対して患者数は限られているため、自分が希望する症例を経験できないことも多くあります。ある分野に対して専門性を深めたいのに、経験が積めないということから医局を辞めることを希望してしまうことがあります。
人事異動によるもの
分院、または関連病院などへの異動があることもあります。派遣先が近隣であれば大した負担になりませんが、遠方への異動で引っ越しを余儀なくされることもあります。結婚、出産といった家族の問題や、腰を据えて地域医療に取り組みたいという思いの強さから、大学病院を離れる医師は少なくありません。
年収が低い
一般的に大学病院の給与水準は、医師の中でも低い傾向にあります。教授職になってやっと1000万円代後半というケースもあり、若い医師では1000万を下回ることも珍しくありません。そのため週に数回、市中病院でアルバイトをする医局医師もいます。根本的に大学病院は給与が低いため、よりより待遇を求めて市中病院に転職を希望するケースもあります。
医局内の立ち位置が分かってきた
医局に所属する医師は、40歳前後で大体は自分がどの程度出世できるか把握できます。教授職を望んでいたのに、その可能性がないことを悟った時に転職する医師が多くなります。
3:医局を辞めるときに気を付けたいこと
このような理由で医局を辞めることを決断する医師は多くいます。しかし医局の影響力はいまだに強いため、辞めるときに気を付けないとトラブルの原因になることがあります。
教授と喧嘩別れのようになると同じ地域では就職が難しくなることもあるので、辞めるときは細心の注意を払いたいものです。医局を辞めるときは以下のようなことに気を付けましょう。
辞めるときは半年以上の猶予を持って伝える
急に医師が退局してしまうと、医局人事の予定が狂ってしまいます。すぐに辞めたいと思っても最低半年、できれば1年ほど猶予をもって退職の意思を伝えるとよいでしょう。
辞めるときは上司や医局長に相談をする
医局を辞めるときにいきなり教授へ退局の医師を伝えるのはおすすめしません。教授からしても急な話で、こじれてしまうことも多いです。まずは上司や医局長に相談をして、教授へどのように伝えればよいかを教えてもらいましょう。医局を辞めたがる医師は相当数いるので、過去の経験をもとに的確なアドバイスをくれるはずです。
退局の意思を他人に漏らさない
同僚の医師や看護師に退局を考えてることは漏らさないようにしましょう。秘密はどこから漏れるか分かりません。漏れた秘密が教授に伝わってしまうと、話がこじれる原因になります。具体的に退局が決定するまで上司や医局長など限られた人間を除き、他人に話すのはやめましょう。
ドクタービジョン編集部
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