30代後半となり、そろそろ40歳になる頃、医局に所属する医師は「本当にこのまま医局に属していてよいのか」という疑問を抱くことが増えます。40歳手前くらいだと自分が医局内でどのような立ち位置にいて、今後どの程度の出世が見込めるかが分かってくるためです。
医局に在籍し続ける医師も多くいますが、医局を退職する人も多くなります。医局を円満に退局するためにはどのような点に気を付ければよいのでしょうか?
1:まずは本当に医局を辞めたいのかどうかを考える
30代後半になってくると、医局の中でもある程度の社会的地位を得ることができます。今後、どの程度の出世が見込めるかどうかは別にして、医局人事は社会的地位が高く、雇用も安定しています。退職金や医師年金などの観点から見ても働き続けるメリットはあるため、「本当に医局を辞めたいかどうか」ということを考えることが重要になります。
民間病院に転職すれば、給与水準では高くなることがほとんどです。しかし民間病院より大学病院などの方が、一般的に社会的地位が高く、生活をする上で有利になることもあります。また医師としてのスキルを高めていくのも、医局に所属し大学病院で症例を経験するのが近道であることがほとんどです。
給与面に不満があるのか、労働条件に不満があるのか、医局で行っている医療行為以上に自分にしたいことがあるのか、ということをしっかりと分析して、なぜ辞めたいのかということを明確にすると、医局を辞めて後悔することが少なくなります。
同時になぜ辞めたいかを突き詰めていけば、転職活動の面接の際にもしっかり転職理由を話せるようになり有利にすることができます。
2:医局を退局するときに気を付けること
それでは医局を退局するときはどのような点に気を付ければいいのでしょうか?実際に退局交渉をするときは、以下のことに気を付けておきましょう。
退局する時期は医局側と相談しながら決める
医局を退局すると決めて転職活動をすると、一刻も早く退局したいという気持ちに駆られることもあります。望んでいた医療機関からめでたく内定をもらうと嬉しくなり、入職する時期を早めに設定してしまいがちです。しかし急に退局を申し出ると、医局側も人事の計画が狂い困ってしまいます。
次の職場に入職する時期を決めてから退局交渉をすると、医局側からの心象もよくなく、揉める原因ともなります。トラブルになると円満な退局ができなくなってしまうので、入職する時期を決める前に退局交渉をすることをおすすめします。
退局交渉を申し出るタイミングは、転職活動をして次の入職予定の医療機関から内定をもらったタイミングがよいでしょう。このタイミングならば入職する時期もある程度融通が利くため、医局側の意に沿いやすくなります。医局人事などに不満を持っていると医局を困らせることに抵抗がなくなってしまいますが、不要なトラブルは避けるのがよいでしょう。
退職意思をいきなり教授には伝えない
医局の退職をいきなりトップである教授職の人に伝えるのはおすすめできません。病院だけの話ではありませんが、組織である以上根回しというものは必要になります。各科の医科長や医局長などにまず、退職を考えていることを相談するようにするとよいでしょう。
医科長や医局長としても、医師の退局は初めてのことではありません。ある程度仕方のないことと捉えてくれて、円満に退職するためのアドバイスをしてくれることがほとんどのはずです。教授にもそれとなく根回しをしてくれることもあるので、まずは医科長や医局長などに相談するようにしましょう。
もちろん、これは日々の人間関係があってこそです。普段から円滑なコミュニケーションを取るように心がけ、周囲の人からの心象をよくしておくと、退局交渉の際に有利に働くこともあるので、働いているうちから意識しておくようにしましょう。