医師は激務なことで有名な職業ですが、近年は医師の働き方にもメスが入り、一昔前よりはワークライフバランスの取れた生活を送れるようになっています。しかしそれでもなお、医師が不足している医療機関では、過重労働を強いられていることもあります。医師がワークライフバランスを整えるためは、どうすればよいのでしょうか？
１：医師一人当たりの負担が大きくなる職場環境
労働時間が長く、プライベートな時間があまり取れないと悩んでいる医師はたくさんいます。特に手術に関わる外科や産婦人科、麻酔科などの診療科は労働時間が長くなりがちな上に、当直やオンコールもあるため、非常に忙しい生活を余儀なくされています。
大学病院や国公立病院など一部の医療インフラを担う病院以外は、基本的に営利を追求することが前提となります。大学病院や国公立病院は採算の取れない診療科などを廃止することはありませんが、一般的な市中病院ならば採算性の向上のためあり得ます。ほとんどの病院において採算性を追求することは非常に重要な課題となります。そのため人件費の高い医師の採用はぎりぎりの人数にしている病院が多くなります。そうなると医師一人当たりの負担が大きくなり、労働時間が長くなってしまいます。
経営陣の考え方にもよりますが、古い体質の病院では医師のワークライフバランスよりも利益のほうが重視されることが多いような気がします。労基などの外部からの圧力があれば別ですが、病院内部で働く医師の働きかけだけでは、経営の方針が変わることは期待できないでしょう。
２：他の病院への転職を考える
ワークライフバランスを改善させるために、転職をするのも一つの手となります。転職を考える際、転職サイトや病院の採用ページなどから情報を拾ってくることは可能ですが、書面上の条件と実際の労働条件が異なるということはよく聞く話です。労働時間が少なくワークライフバランスが取れそうな求人でも、実際に働いてみると激務だったという事例はいくらでもあります。
そのミスマッチを防ぐためには、病院の実情を聞くことが一番です。もし希望する病院で働いている知り合いがいるならば、話を聞いてみましょう。また、病院の実情を把握してミスマッチの少ない転職をする時に強い味方になるのが、転職コンサルタントです。転職コンサルタントは病院の実情を把握していることがほとんどなので、実際の労働条件などを知ることができます。また、そもそもワークライフバランスの整った病院を紹介してほしいと依頼すれば、条件に合致した病院を紹介してくれるでしょう。
３：非常勤医という働き方を考える
常勤医を正社員とするならば、非常勤医はアルバイトです。こうして聞くと非常勤医は非効率的な働き方に思えますが、医師の場合は、非常勤医のほうが優れている面も多数あります。まず、収入は常勤医よりも非常勤医のほうが高くなる傾向にあります。時給制で医師が足りていない病院が募集をかけるため、条件はよくなります。常勤医から非常勤医になることで年収が数百万円アップすることも珍しい事例ではありません。
また時間的拘束は、常勤医よりも非常勤医のほうがゆるくなります。非常勤医はもともと何時から何時まで働くということが契約で決まっています。提示を超えた分の医師の確保は病院側の役割であり、残業が生じることも多くはありません。また当直やオンコールも契約の時点で拒否することができるので、一切行わないこともできます。
４：転科を考える
そもそも労働時間が長くなりがちな前提として、所属している診療科に原因があることがあります。外科系、産科、麻酔科は手術を行うことが前提となっている診療科のため、必然的に労働時間が長くなります。もちろん、手術の時間はあらかじめ計画としてどの程度が定められていますが、思いもよらぬ事態が起こるのが手術で、どうしても時間が長くなります。
もちろん若いうちにバリバリ働いて、その診療科の医師としての経験を積みたいという人もいるでしょう。しかしもう少しゆったりと働きたいと思う人だっているはずです。そんな時は転科を検討してみましょう。比較的転科しやすく、労働時間が極端に長くならない内科や眼科、皮膚科などが狙い目です。病院によっては転科後の研修体制が整っているところもあるので調べてみるとよいでしょう。
