医師の退職の流れを徹底解説!手続きはどう進めればいい?

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転職ノウハウ

公開日:2017.12.21
更新日:2021.04.08

医師の退職の流れを徹底解説!手続きはどう進めればいい?

医師の退職の流れを徹底解説!手続きはどう進めればいい?

転職先が決まったらスムーズで円満に進めたい医師の退職。とくに初めての転職時は知らないことも多く、不安を感じるかもしれません。退職や退局に伴うトラブルは、今後のキャリアにとってマイナスになる場合があるので可能な限り避けるように動くことがおすすめです。

そこで今回は、退職の意思を伝えるタイミングから退職日当日まで、一通り確認しておきたい必要な手続きについて解説します。また、退職の際に気をつけるべき点や円満退職におけるポイントなども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

退職意思を伝えるタイミングは最低でも3ヵ月前

退職意思を伝えるタイミングは最低でも3ヵ月前

退職意思が固まったら、重要なのは伝え方とタイミングです。医局に所属していない場合と所属している場合に分けて解説します。

無所属の場合

医局に所属していない場合は、退職希望日の半年前から最低でも3ヵ月前には直属の上司や人事責任者に辞意を伝えます。医療機関にもよりますが、基本的に退職の意思表示のあとに退職届の提出が必要です。退職届のフォーマットが決まっている場合もあるため、人事責任者に確認するといいでしょう。

退職理由を伝える際は、批判と捉えられないよう言い回しに気をつけます。たとえ勤務先の環境・待遇の悪さや複雑な人間関係などが原因であっても、退職理由は「一身上の都合」としましょう。正直に不満を伝えると、意図とは異なる伝わり方をしてう恐れも。あまり良い印象を抱かれず円満退職が難しくなる可能性があります。

また、退職意思は、上司や人事責任者以外には基本的に伝えるものではありません。事前に同僚やスタッフ間で退職の噂が広まってしまうと、職場の雰囲気が悪くなってしまうケースも見られます。正式に退職が決定すると医療機関側からアナウンスされるため、先走って同僚に伝えないように注意してください。

医局に所属している場合

医局を通じた紹介・派遣の場合は、まず医局から勤務している医療機関に打診があります。その後正式に退職が決まり次第、自分の口から人事責任者に伝えます

医局を辞めて開業する場合は、医局人事が決まる前のタイミングで退職意思を伝えていなければ長期間の引き留めにあうなど、トラブルにつながる可能性が高いです。医局を離れてから開業準備を始めたほうが穏便に進むこともあるため、辞める時期は慎重に検討しましょう。

退職日の決定

退職日は一方的に決めるのではなく、勤務先と調整します。人材不足や経営上の問題など勤務先の事情もあるため、希望の退職日を伝えつつ話し合い、上手く折り合いをつけましょう。

労働基準法上は、退職届の提出から退職までは最低2週間で可能です。しかし、医療機関では後任の確保や引き継ぎに時間がかかる点から、退職までには3〜6ヵ月かかる傾向があります

引き継ぎ事項の整理

引き継ぎ事項の整理

退職日が決まれば次は引き継ぎです。円満退職のためにも引き継ぎが必要な事項をリストアップし、退職日までに滞りなく完了するようスケジュールを立てます。共有漏れがないように、誰にいつ何の引き継ぎを済ませたかのチェックリストがあると便利です

長期入院の患者さんを主治医として受け持っている場合など、後任の医師が知っておくべき情報は引継書にまとめておくと親切でしょう。日々の業務に追われていると、書類作成の時間が取れないことも考えられるため計画的に行います。医局人事の場合は、何かあった際に先輩や後輩と連絡が取りやすいこともあり、引継書を書かないことも多いようです。

細やかな引き継ぎは後任者にとって心証がよく、ひいては患者さまのためにもなります。退職後に何度も確認の連絡がくると、自身にとっても面倒なもの。できる限り勤め先に迷惑をかけないよう、引き継ぎはスムーズに進めることがポイントです。

退職時の挨拶について

退職時の挨拶は、印象良く去るためにもしっかり済ませることが重要です。医療機関によって慣習は異なりますが、退職日の数日前からお世話になったスタッフへ一言お礼をすることが望ましいです。

退職日当日は忙しいうえ、医療現場は基本的に交代勤務制です。退職日当日に会えずじまいになる可能性もあります。事前に勤務表でそれぞれのスタッフに会う最後の日を確認しておくとよいでしょう。退職の挨拶をメールで済ませることもできますが、相手に返信の手間をかけてしまうため直接挨拶しておくに越したことはありません。

患者さまへの挨拶は場合によります。入院患者さんを担当している場合は、後任の医師に丁寧に引き継ぎした旨を本人やご家族に伝える配慮をしてもよいかもしれません。外来などでは患者さんに混乱を招くケースもあるため、自分の判断で行います。医療機関や役職によっては、公式サイトやスタッフブログ、SNSなどで退職の挨拶文を出すこともあります。

退職時に受け取るもの・返すもの

退職時に受け取るもの・返すもの

退職日に勤務先に返却するもの、受け取るものについてお伝えします。のちのち迷惑をかけないためにも早めに準備をして、漏れのないよう注意しましょう。

受け取るもの

勤務先から受け取るものは下記の通りです。

  • 雇用保険被保険者証
  • 雇用保険加入者であることの証明書類です。次の勤務先に提出する必要があるため、忘れずに受け取りましょう。
  • 源泉徴収票
  • 年末調整のために、次の勤務先に提出する必要があります。また、フリーランスになった場合など自分で確定申告をする際にも必要です。
  • 年金手帳
  • 年金手帳は自己保管のケースが多いものの、まれに勤務先が保管していることがあります。必ず受け取りましょう。
  • 退職証明書
  • 開業医やフリーランスになるときは、医師国保や国民年金へ加入する際に退職証明書の提出が求められる場合があります。
  • 離職票(※後日郵送)
  • 次の勤務先が決まっている場合は基本的に不要です。一度離職する場合は失業保険の受給で必要になるため、退職日までに勤務先に離職票の発行を依頼しましょう。退職後10〜14日間ほどで自宅に届きます。

返すもの

勤務先に返却するものは、一般的に下記の通りです。

  • 健康保険被保険者証
  • 身分証(社員証、IDカード)
  • 貸与されていた白衣
  • 名札・名刺
  • 鍵類(医療機関の鍵、セキュリティカード、ロッカーの鍵など)
  • 通勤定期券・交通系ICカード
  • 通信機器(PHS、ポケベル)
  • 業務用の関係書類
  • そのほかの備品(PC、USB、書籍、事務用品など)

これら以外の注意点として、勤務先から発行されたメールアドレスで登録しているサービスがあれば、退職日までに個人のアドレスに登録変更するか、退会するか手配しておきましょう。

計画的に進めて円満退職を

医療業界は想像以上に狭く、自分の印象を悪くすることなくスムーズに退職することが今後のキャリアを築くうえで大切です。転職後に出戻りする可能性もゼロではないため、丁寧な引き継ぎや挨拶を心がけましょう。

また、医療機関には、それぞれ明文化されていないルールや慣習が存在することが多々あります。困ったことや不明点が出た際は、人事担当者や退職した先輩に相談するのもひとつの方法です。

退職が決まると何かとやることが多く、あっという間に退職日を迎えます。計画的に準備を進め、漏れが無いように手続きを完了させましょう。

ドクタービジョン編集部

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