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医学部卒業後の「初期研修」。研修医として過ごすこの期間は、慣れない環境で様々な経験をすることから、仕事が辛いと感じる方も多いでしょう。なかには、すでに仕事が辛くて仕方ないと感じている方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、研修医の仕事が辛いと言われる原因と、仕事でストレスを感じたときの対処方法について紹介します。
研修医の仕事が辛い3つの原因
研修医生活がはじまると、朝は7時台に出勤し、退勤が20時を過ぎることも珍しくありません。それだけでなく、日付が変わる近くまで働くこともしばしば...。仕事においても大学で学んだ内容を上手く生かせず、上司や指導医、ときには看護師からの叱責が飛んでくることもあるでしょう。当直業務を任されるようになると、息抜きや勉強をしたくてもますます自分の時間を取りにくくなります。ストレスの多い状況が続くあまり、「なんて自分はダメなんだろう」と落ち込んでしまうこともあるのではないでしょうか。
研修医のストレス要因は、大きく3種類にわけられます。「労働環境によるストレス」「人間関係によるストレス」「医師としての経験が少ないことによるストレス」です。以下に詳しく解説していきます。
労働環境によるストレス
研修医が抱えがちなストレスとして、まず労働環境があげられます。医師として働きはじめると患者さまファーストで動くようになりますから、自分の都合でスケジュールを組み立てられた学生時代とのギャップにストレスを感じる研修医は少なくありません。当直を含めた長時間労働が当たり前になることで生活リズムが不規則になり、睡眠不足に悩む方も多いでしょう。ほかにも、仕事中心の生活になることから、家族との関係性の変化や将来のキャリアに対する悩みなどを抱える方もいるかもしれません。
人間関係によるストレス
次に、新社会人になったことで生じるストレスとして職場での人間関係があります。研修医は若手であることから、上司・指導医・先輩医師以外にも看護師などのスタッフとの板挟みになることも...。
研修期間中は数ヶ月ごとに診療科をローテートするため、新たな診療科に異動するたびに人間関係を構築する必要があります。職場での人間関係に馴染めなかったり、研修先の診療科ごとに人間関係を新たに構築・維持することをストレスに感じたりする研修医は多いようです。日々の診療で受ける患者さまや先輩指導医などからのネガティブなフィードバックも、捉え方によってはストレスに感じることもあるでしょう。
医師としての経験が少ないことによるストレス
医師になったばかりの研修医期間特有のストレスとして、仕事に慣れていないことと、医師としての経験値の低さからくるものがあります。配属先では先輩医師の活躍を目の当たりにして、自身の力不足と無力さを痛感することもあるでしょう。しかし、患者さまを含めた周囲からは一人前の医師としての対応を期待されます。そのため、ちょっとした質問に答えられないときなどに、理想と現実のギャップにストレスを感じる研修医は多いもの。同期と自分を比べてしまうあまり、誰かに相談したくても相談できない状態になることもあるかもしれません。
研修医の仕事のストレスを解消するには?
このように、研修医は日々の仕事において多くのストレスを感じがちです。もはやストレスそのものを避けることは難しいといえるでしょう。では、研修医が仕事でストレスを感じた際にはどのように解消すればよいのでしょうか。
何でも話せる相手(メンター)を持つ
メンターとは、主に仕事について相談できてフィードバックをしてもらえる存在のことです。普段から一緒に仕事をしている上司や先輩医師にメンターをお願いすることで、診療の進め方など座学では学べないことを吸収できる機会につながります。また、今後のキャリア形成を考えていくうえでメンターである医師のキャリアがロールモデルになることもあるでしょう。
仕事ができなくても落ち込みすぎない
医学部で身につけた知識を役立てられず、思ったように仕事ができないからといって、必要以上に落ち込むことはありません。確かに医師の仕事はささいなミスも許されない仕事ではありますが、はじめての仕事を完璧にこなせる人などほとんどいないものです。上司や先輩医師からの指摘は真摯に受け止めて、今後自分が成長するための糧にしましょう。
わからないことがあれば、上司や先輩医師に質問したり文献を調べたりして技術や知識を身につけたことを習慣にする。そうしたどんなに忙しくても学び続ける姿勢が自身の成長につながります。
できないことだけでなく、できることにも目を向ける
1日の終わりにはその日の業務内容を振り返り、できたこととできるようになったことを確認して、自分のことを認めてあげましょう。
自分自身では気づかなくても、周りから見れば少しずつ成長できているはず。毎日の成長に気づくことができれば自信につながり行動も変化します。その結果、同僚や患者さまとの人間関係がよくなったり、よりよい仕事の進め方ができるようになったりと、今までストレスに感じていたことも好転するでしょう。
睡眠を効率よくとれるよう工夫する
医師の仕事は体力勝負の一面もあります。研修医になると当直にも入るようになり睡眠時間が短くなりますから、効率よく睡眠をとれるよう、睡眠の質を上げるコツを押さえましょう。
仮眠時は、光や音など外界からの刺激をいかにシャットアウトできるかが重要です。室内の照明対策にはアイマスクよりも立体的なデザインのスリープマスク、足音をはじめとした騒音をシャットアウトする耳栓などの使用がおすすめです。
当直明けは、自宅でゆっくり過ごされる方も多いはず。入浴はシャワーで済ませずに湯船につかると体も温まりますし、ストレス解消にもつながります。余裕があるときは、軽めのストレッチを取り入れてみましょう。医師はオペなどの立ち仕事や外来診療時の座り仕事なども多いもの。意識的にストレッチを行うことで冷え性や足のむくみの解消にも効果が期待できます。
研修医が仕事で「うつっぽい」と感じたら
慣れない環境下での労働や理想と現実のギャップからくる無力感に襲われて、うつ状態やバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥ってしまう研修医もいます。
ストレスが溜まったり「うつっぽい」と感じたりしたときの対処方法として、まずは周囲に相談することをおすすめします。相談することに負い目や遠慮を感じるかもしれませんが、話を聞いてもらうだけでもストレス解消につながります。また、思い切って悩みを打ち明けることで、壁を乗り越えてきた上司や先輩医師、あるいは自分と似たような悩みを抱えている同期との会話から、問題解決のヒントを得られるかもしれません。
自動思考や「すべき」思考が強く出ている場合は、それらの思考に陥っていることを自分で認識することが大切です。自動思考とは何かしらの物事に対して瞬間的・自動的に浮かんでくる考えやイメージのこと。物事をネガティブに考えがちだと感じたら、認知行動療法などを実践するのもよいでしょう。
ひとりで抱え込まず、周囲を上手に頼ろう
研修医生活は、はじめての経験の連続です。長時間勤務に加えて、患者さまの命と健康を預かる医師としての責務もあります。そのため、上司や先輩医師からは厳しい指摘を受ける機会もたくさんあるでしょう。
仕事のなかで理不尽に感じることもあるかもしれません。しかし、研修医時代の経験は血肉となり、これからの医師人生を歩むうえできっと役に立つはずです。
身体的・精神的なストレスの溜まりやすい環境ではありますが、担当した患者さまが元気になっていく様子を誰よりも近くで見守ることができる点は、医師のやりがいのひとつ。仕事が辛いと思ったときは、一人で抱え込まずに周囲の力を借り、必要なときには上手に休みながら乗り越えていきましょう。
ドクタービジョン編集部
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