女性医師の子育てと働き方について

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働き方

公開日:2021.05.19

女性医師の子育てと働き方について

女性医師の子育てと働き方について

妊活や出産・子育てに影響を受けやすい女性医師のキャリア。出産・育児と研修・専門医取得の時期が重なる場合は多く、「キャリア」「育児」「プライベート」のバランスの取り方に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

ここ数年で子育て医師を歓迎する医療機関も増え、育児支援への意識向上は見られるものの、まだ十分とはいえない現状があります。今回は、女性医師のキャリアの現状や仕事と家庭を両立するためのポイントについて解説します。

子育てと仕事の両立に悩む女性医師は多い

子育てと仕事の両立に悩む女性医師は多い

平成29年に出された「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書 (以下、報告書)」では、「家庭・育児に関する悩み」の割合が最も大きいことがわかっています。悩みの詳細では、すべての年代で「家事・育児・介護と仕事の両立」が最も多く、次いで「配偶者の非協力・無理解」でした。

女性医師にとって、希望とするキャリアを歩めるかどうかはパートナーが協力的で理解があるかも関わってくると考えられます。また、時代は変わってきているとはいえ、出産・育児をきっかけに離職や転職を選ばざるを得ないケースや、上司や同僚からマタハラを受けるケースは依然としてあるのが実態。女性医師の割合は年々増加傾向にあり、育児支援制度が整っていたり、子育てに対して理解があったり、女性医師がキャリアとプライベートを両立できる職場環境へのニーズは高まる一方です。

育児休業取得の現状

報告書では育児休業の取得状況についても調査されており、出産経験がある女性医師のうち59.1%が育児休業を取得していました。裏を返せば残り40.9%の人は取得していないということです。育児休業を取得しなかった理由としては、「代わりの医師がいない」が最も多く、その次に「職場で取得しづらい雰囲気がある」が挙げられました。

育児休業制度があり取得条件を満たしていても、勤務先の状況や雰囲気によっては現実的に取得が困難な場合は多々あるようです。育児休業をスムーズに取れるかは勤務先次第ともいえるでしょう。

復帰・転職時のポイント

復帰・転職時のポイント

復職や転職を考える際にしておきたいことは、リソースの再確認です。人的、経済的、時間的なリソースを確認しつつ、どのようなキャリアを築けそうか検討することが大切です。

復職や転職をする前に知っておきたい仕事と育児両立のポイントについて、具体的にみていきましょう。

身近に相談できる人を確保しておく

とくに初めての出産・育児の場合は不慣れなことだらけで一人では解決できないことも多いでしょう。パートナーや親以外にも、育児やキャリアについて相談できる相手を確保することが大切です。悩みを一人で抱え込んでしまうと、メンタルの調子を崩すリスクがあります。

妊活や子育て経験のある人やパートナーが単身赴任になった人、実家が遠方で親の援助なしに子育てしている人など、自分の境遇と近い同僚や先輩の意見は参考になる可能性が高いでしょう。

身近に直接相談相手がいない、身近な人には気を遣って相談しづらいなどの事情があるときは、オンライン上の友人に話を聞いてもらったり、カウンセリングサービスを利用したりするのもひとつの方法です。

子どもの緊急時の対応を想定しておく

子どもが保育園や託児所などに入ると感染症にかかる頻度は高くなり、緊急の呼び出しが増えます。入園前にどのような場合は誰に預けるのか、パートナーと決めておくことが重要です。近くに住む親や頼りやすい友人とは、コミュニケーションをこまめにとっておくこともポイントです

共働きで親も遠方在住で頼れる人がいないときは、自治体や民間企業が運営する病児・病後児保育サービスを積極的に利用しましょう。自治体によっては病児枠が非常に少なく、自宅からアクセスが悪い可能性も考えられます。行政の保育ママ制度の利用など複数のサービスに事前に登録をしておくことをおすすめします。

また、自身の体調が優れない、下の子の世話が大変で上の子を迎えに行くのは体力的に厳しいなどの場合に備えて、ベビーシッターやタクシー会社が運営する送迎代行サービスに登録しておいてもよいでしょう。

病院附属の保育園や託児所を活用する

勤務先に附属の保育園や託児所がある場合は、積極的に活用してみましょう。病院内や敷地内、病院から徒歩数分圏内などにあることが多く、送迎にかかる時間を節約できます。また、優先的に年中入園できるため保育園探しに時間を奪われずに済む、通勤に合わせて送迎ができる、残業になったときに融通が利きやすいなどのメリットがあります

一方でデメリットとして、退勤後も勤務先の人と関わらなければならずプライベートと分けられない、残業を断りづらいなどが挙げられます。自分の性格やライフスタイルに合わない場合やほかの保育園のほうが都合のよい場合は、院内保育に無理にこだわる必要はありません。

「育児支援制度あり」「週4日勤務」などの条件で求人を探す

転職を考えている方は、子育てしながらでも働きやすい職場を見つけるために、下記のような条件で求人を探してみましょう。

  • 育児支援制度あり
  • 週4日勤務
  • 当直・残業なし
  • オンコールなし
  • 時短勤務可
  • 院内保育所あり
  • これらの条件や自分の希望をすべて満たす職場を見つけることは困難です。パートナーが協力的で当直は対応できる、残業は無理だが週5勤務は可能など、状況を整理して条件を絞りましょう。応募できる医療機関の幅を狭めないために、譲れない条件を3つまでにしておくことがポイントです。

    自由診療のクリニックへの転職を検討する

    自由診療の領域では、女性医師や子育て医師を歓迎しているクリニックが多い傾向にあります。美容外科や美容皮膚科のほかに、AGAやレーシック・ICL、生殖医療、健康診断などをメインに行うクリニックも残業や当直は基本的に少なく、働きやすさと報酬のバランスがよいでしょう。自身がどのようなキャリアを築きたいかにもよりますが、ワークライフバランスを上手く取りたい場合は自由診療を検討してみるとよいでしょう。

    また、自由診療ではないものの、訪問診療を専門とするクリニックも残業が少なく、子育て医師は働きやすいと言われています。外来診療とは毛色が異なりますが、患者さまやご家族と深く関われる魅力があり、女性医師が活躍できる転職先として注目されています。

    困ったときは転職コンサルタントに相談を

    困ったときは転職コンサルタントに相談を

    出産を考えているが育児休業を取りづらい、勤務先が子育てに不寛容などの理由で、転職を検討している場合は、まずは転職コンサルタントに相談してみましょう。育児経験のある女性医師が多い、スタッフの雰囲気がよい、複数主治医制を導入しているなど、医療機関のより細かい情報を提供してもらえます。

    近年は、産業医や製薬会社をはじめとする一般企業で働くなど、臨床以外の選択肢も増えています。客観的な立場からあなたに適した選択肢を提示してくれ、キャリアの可能性が広がることもあるかもしれません。そのほかにも、転職市場の動向の共有、面接時のアドバイス、非公開求人に応募できるなど、様々なメリットがあります。転職コンサルタントの利用は基本的に無料のため、登録・相談してみてはいかがでしょうか。

    ドクタービジョン編集部

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