医師が結婚するタイミングはいつ?現役医師の経験とデータをもとに分析

医師がキャリアや働き方を考える上で参考となる情報をお届けします。
医療業界動向や診療科別の特徴、転職事例・インタビュー記事、専門家によるコラムなどを日々の情報収集にお役立てください。

プライベート

公開日:2023.12.20

医師が結婚するタイミングはいつ?現役医師の経験とデータをもとに分析

医師が結婚するタイミングはいつ?現役医師の経験とデータをもとに分析

医師は"結婚したい職業ランキング"で男女とも上位にランクインされることが多く、結婚相手として人気の職種とみなされています。しかし、医師の結婚事情の実際のところはどうなのか、気になる医師も多いのではないでしょうか。

この記事では、医師の結婚相手や結婚に適するタイミングについて、医師として勤務している筆者の経験やデータをもとに分析していきます。

医師の結婚相手

まずは、医師の結婚相手に多い職業から見ていきましょう。

医師の場合、同じ職業同士で結婚する「医師同士婚」が比較的多いと言われています。しかし性別による違いもあります。

2022年に報告された論文*1によると、男性医師の場合、結婚相手の14.7%が女性医師ですが、最も多いのは非労働者(専業主婦)で、57.2%を占めています(結婚や出産を機に職場を辞めた方も含まれると思われます)。

これに対して女性医師の場合、結婚相手の68.9%が男性医師で、非労働者(専業主夫)はわずか(1.9%)です。医師同士婚がかなりの割合を占めていることがわかります。

男性医師の場合、医師との結婚は女性と比べて少ないものの、医療従事者と結婚している例は多くみられます。医師は職場以外での出会いの機会が少ないこと、同じ医療従事者の方が転勤・異動や当直といった医師特有の働き方への理解を得やすいことなどが、理由として考えられます。

主観にはなってしまいますが、最近の若年層では、男性医師の結婚相手として女性医師はもう少し割合が高いように思います(3分の1くらいはいるのではないでしょうか)。

医学部進学者に女性が増えていることや、2004年に導入された新医師臨床研修制度によって研修先で医師と出会う機会が増えたことなどが影響していると思われます。

医師の結婚率

続いて、医師の結婚率について見てみましょう。

50歳時点で一度も結婚したことのない人の割合(生涯未婚率)は、少し古い調査報告(2013年)ではありますが、男性医師で1.7%であるのに対し、女性医師は13.3%と、大きな差がありました*2。女性医師の場合はとくに、仕事と家庭の両立が難しいことが関係していると推測されます。

全人口の生涯未婚率(2020年時点)は、男性が28.3%、女性が17.8%です*3。データ取得時期に違いはありますが、男性医師は一般平均と比べて結婚率がかなり高く、女性医師は平均と同程度かやや高いと言えるでしょう。

医師が結婚に適するタイミング

ここからは、この記事の本題である「医師の結婚タイミング」について考えていきましょう。医師としてのキャリアプランと照らし合わせて考えると理解しやすくなります。

例外はありますが、大きくは下記の3つのタイミングに分けられます。

臨床研修終了時
専門研修(専攻医)期間
専門研修終了以降

結婚前には交際期間を挟むことが一般的です。結婚までの平均交際期間は年齢によっても異なりますが、3~5年程度が多いとされています。タイミングによって結婚相手も変わってくるでしょう。

①臨床研修終了時(26~27歳ごろ)

医師の結婚事例のうち、若い頃に多いのがこのパターンです。

2年間の臨床研修が終わるタイミングで結婚する場合、交際期間をふまえると学生時代から交際しているカップルが多いと言えます。近年は医学部入学者の約3分の1が女性であり、医学生同士で交際する例は多くみられます。

②専門研修(専攻医)期間 (30~32歳ごろ)

臨床研修後に結婚するパターンとして多いのが、専攻医のタイミングです。学生時代から付き合っていたパターンに加えて、研修医の期間に交際を始めたパターンが含まれます。

研修医同士の出会いのほか、医師以外の医療従事者との出会いもあります。医療従事者の代表例は看護師ですが、看護師の90%以上を女性が占めているため、男性医師と女性看護師で結婚する事例が多いと言えます。

③専門研修終了以降

専攻医期間を終えた年齢になると、それ以前と比べて結婚相談所やお見合い経由での結婚例が増えてきます。

医師においても、年齢を重ねるにつれて結婚している人が周りに増えてきます。一般論になりますが、初婚夫婦の年齢差は近年縮小傾向にあり、2021年は1.5歳差になっています*4。さらに詳細を見てみると、同年齢が21.6%、夫が年上が53.9%、妻が年上が24.5%となっています*5。年齢差は5歳までが80%を占めています。

つまり、年齢を重ねると職場で同年代または上の世代の人は結婚している率が高くなり、下の世代は年齢差が大きいため結婚まで至る例が少なくなってきます。その結果、結婚を望んでいる人が多く集まる結婚相談所やお見合いといった場を活用する人が増えてくるわけです。

医師の結婚タイミングは一般的な結婚タイミングと違うのか?

腕を組んで見上げるドクター

医師の結婚タイミングについて、おおむねご理解いただけたかと思います。続いては、医師の結婚タイミングは一般的な結婚タイミングと違うのか、考察してみたいと思います。

医師として働くためには、医学部で6年間の教育を受けた後、医師国家試験に合格する必要があります。進級するのが大変な大学もあるため、学生時代に結婚する例は少ないと考えられます。このため医師の平均初婚年齢は、一般と比べると高いと推測されます。

実際のデータで見てみましょう。取得時期がそろう2015年前後で比較すると、全人口の平均初婚年齢は、男性30.6歳、女性29.1歳となっています*6(ちなみに最新の2021年の数値は男性30.7歳、女性29.1歳です*7)。医師の場合は男性30.9歳、女性34.9歳*2なので、男性医師の初婚年齢は平均的なタイミングとそれほど差がない一方、女性医師は結婚が遅い傾向にあることがうかがえます。

まとめ

医師として一人前に働けるようになるまでには、6年間の学部教育や2年間の臨床研修といったハードルがあります。勉強や仕事を重視する人も多く、ともすると自身の私生活について深く考えることが少ない傾向にあります。

しかし医師であれば周知のとおり、生物学的に出産に適した年齢は決まっており、高齢出産はハイリスクとして扱われます。結婚・出産のタイミングは、男女ともにキャリアプランに与える影響も大きいため、結婚に適するタイミングを知っておくことは有意義と言えます。とくに女性医師の方は一般平均よりも結婚率が低く、初婚年齢が高いというデータもあることから、結婚・出産を希望している場合は早めに結婚を意識した活動を始めるのが良いのではないでしょうか。

この記事が結婚のタイミングについて理解を深める一助になれば幸いです。

Dr.SoS

執筆者:Dr.SoS

皮膚科医・産業医として臨床に携わりながら、皮膚科専門医試験の解答作成などに従事。医師国家試験予備校講師としても活動している。

今の働き方に不安や迷いがあるなら医師キャリアサポートのドクタービジョンまで。無料でご相談いただけます