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耳鼻咽喉科は、鼻、耳、のど(咽頭や喉頭)などの病気を診断の上、治療する診療科です。耳鼻咽喉科が扱う領域は、扁桃腺炎のように日常的な疾患から咽頭がんまで幅広く、それぞれで専門性が求められることからスペシャリストとしての活躍が期待されるでしょう。
今回の記事では、耳鼻咽喉科の平均年収と仕事内容、働き方の特徴について解説します。
耳鼻咽喉科医の平均年収
耳鼻咽喉科は、病院やクリニックなどで目にする機会の多い診療科の一つではないでしょうか。ここでは、耳鼻咽喉科の基本的な情報をおさえましょう。
平均年収
耳鼻咽喉科の平均年収は1,558万円、小児耳鼻咽喉科は1,150万円、気管食道・耳鼻咽喉科は1,075万円。医師全体の平均年収1,596万円と比較すると、耳鼻咽喉科は医師全体の金額より若干控えめなようです。
次に地域ごとの耳鼻咽喉科の平均年収を見てみましょう。他診療科と同様、都市部より地方に行くほど平均年収は高くなる傾向にあります。平均年収が高い都道府県としては、福島県2,095万円、京都府・愛媛県・高知県・徳島県で1,950万円、三重県で1,800万円です。
※1.2020年10月時点のドクタービジョン掲載求人をもとに平均値を算出しています。なお本調査では、「耳鼻咽喉科」「小児耳鼻咽喉科」「気管食道・耳鼻咽喉科」の項目を設置していたことを受けて、それぞれの結果をご紹介しています。
医師数と平均年齢
次は、耳鼻咽喉科医の人数や平均年齢などデータを見ていきましょう。厚生労働省『平成30(2018)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況』に掲載されている2018年末時点での内容をご紹介します。
医療施設に従事する医師311,963人のうち、耳鼻咽喉科の所属は9,288人。これは医師全体の3%にあたる数字です。同程度の医師数を有する診療科には、皮膚科(9,362人)や麻酔科(9,661人)があります。
また、耳鼻咽喉科の平均年齢は52.3歳で、医師全体の平均年齢49.9歳よりはやや高い数字です。
耳鼻咽喉科医の仕事内容
耳、鼻、のど、頭頸部の病気の診断と治療には、それぞれ高い専門性が求められます。そのため、耳鼻咽喉科の担当領域は以下のように細分化でき、それぞれ専門とする医師たちが診療にあたっています。
- 耳科...聴覚、顔面神経
- 平衝神経科...めまい、平衡
- 鼻科...嗅覚、アレルギー
- 口腔・咽頭科...睡眠、味覚
- 喉頭科...音声、言語
- 気管食道科...嚥下
基本的に、首から上部分の脳や目、歯以外の部分が対象となります。
耳鼻咽喉科医になる方法
耳鼻咽喉科医になるには、医学部卒業後に2年間の初期臨床研修を受けて耳鼻咽喉科に入る方法があります。耳鼻咽喉科では、年齢性別を問わず様々な患者さまを受け入れており、診療分野も広いため、一人ひとりの声に耳を傾けて症状や検査結果から適切な診断と治療につなげることが求められるでしょう。
耳鼻咽喉科医が取得可能な資格の一つに、耳鼻咽喉科専門医があります。専門研修カリキュラムに従って耳鼻咽喉・頭頸部領域全般の知識と診療技術を深め、特定の資格試験に合格することで取得が可能です。昇進や転職にも有利に働くため、耳鼻咽喉科を目指すなら資格取得を目標の一つとして定めるのも良いでしょう。
耳鼻咽喉科医の働き方
耳鼻咽喉科医の働き方の特徴として、ワークライフバランスを意識した働き方をしやすく、満足度が高い傾向にあることがあげられます。耳鼻咽喉科で扱う疾患は、外来診療で対応可能かつ日帰りで手術できるものが多く、当直や夜勤を要する頻度はほかの診療科よりも少ない傾向です。
また、医師のストレスになりやすい医療訴訟も、近年の耳鼻咽喉科では減少傾向。つまり、年収は医師全体でみると平均より若干控えめである一方、耳鼻咽喉科医はワークライフバランスを形成しやすく、働き方に対する満足度は高いと言えるでしょう。
耳鼻咽喉科医の活躍の場所としては、診療所、総合病院、健診事業があります。求められる働き方や勤務形態などはそれぞれ異なりますが、高齢者から子どもまで幅広い年代の患者さまが受診する診療科であることから、性格やコミュニケーション能力を重視する医療機関も多いようです。次では、職場ごとの働き方の特徴について見てみましょう。
診療所
診療所では、咽頭炎、副鼻腔炎、花粉症をはじめとするアレルギー性疾患など、比較的軽度の疾患に関する診療を主とします。薬物治療やメスを使用しないレーザー治療が多く、外来数にもよりますが基本的には定時退勤しやすい環境のようです。給与水準は低めであるものの、花粉症など需要の高い診療に特化したスキルを有していると好待遇を見込めることもあります。
耳鼻咽喉科はもともと働きやすい診療科ではありますが、子育てや介護などのために家庭で過ごす時間をしっかりと確保したい方は診療所勤務を選択肢に入れるのが良いでしょう。
総合病院
総合病院では、喉頭がんなど診療所では対応できない重度の疾患を診療することもあります。入院や手術可能な環境があるため、外来以外に病棟管理や手術への対応が業務に含まれることも珍しくありません。当直の有無などは医療機関ごとに異なりますが、診療所よりも忙しい傾向にあります。ただし、忙しさの程度は所属する医療機関によって異なるのが実態のようです。なお給与水準は、耳鼻咽喉科のなかでは高い傾向にあります。
専門医を取得したい、耳鼻咽喉科の専門領域について深く学びたいと考えるなら、総合病院での勤務がおすすめです。
健診事業など
学校や企業の健康診断が多く実施される春と秋は、関連するアルバイトの募集が増加します。そのため、診療所や総合病院で働きつつ、スポットでアルバイトに従事する医師もいるようです。
耳鼻咽喉科はワークライフバランス重視の医師におすすめ
耳鼻咽喉科は、取り扱う領域と所属する医療機関の性質次第で、様々な働き方を実現できるのが大きな魅力です。ほかの診療科と比較して平均年収はやや控えめですが、自分らしく働きたい方には、ぜひ検討していただきたい診療科です。
耳鼻咽喉科への転職では、専門医の資格が有利に働きます。今後の取得を考えている人は、現在の職場や転職先で取得可能かを確認しておきましょう。また、ご自身の専門性と実績をまとめ、転職先での目標をアピールできるようにしておくことをあわせておすすめします。
ドクタービジョン編集部
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