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数ある診療科のなかでも、皮膚科は女性医師からの人気が高い診療科のひとつです。収入面もさることながら、待遇条件のよさ、ワークライフバランスを意識した働き方をしやすいことが理由なようです。
ここでは皮膚科医の年収分布、診療科別の平均年収についてご紹介します。また、皮膚科の開業医として将来独立することを視野に入れている方向けに、開業する際に抑えていただきたいポイントについても後半でご紹介します。
皮膚科医の年収分布
皮膚科の年収分布について、眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科との合算ではありますが、独立行政法人労働政策研究・研修機構『勤務医の就労実態と意識に関する調査』にある、主たる勤務先の年収額をまとめた資料をみると、年収分布が見えてきます。この資料によると、年収300万円未満は2.6%、500万円未満は8.3%、700万円未満は12.5%、1,000万円未満は17.3%、1,500万円未満は33.2%、2,000万円未満は22%、2,000万円以上は4.2%です。
厚生労働省が公表する『医師・歯科医師・薬剤師統計の概況』によると、2018年末時点で全国の医療施設に勤務する医師の総数は311,963人。このうち、皮膚科医の数は9,362人で、全体の3%を占める計算です。皮膚科医の数はやや少なめであり、どちらかといえばマイナー診療科であるということがおわかりいただけるでしょう。
皮膚科には、女性医師が多いです。病院に勤務する皮膚科医は3,805人。このなかで、女性医師は54.8%を占めています。診療所になると、5,557人のうち44.3%です。なお、女性医師が多い診療科として、眼科、皮膚科、産婦人科、精神科、麻酔科、耳鼻咽喉科が知られていますが、そのことを裏付ける結果となりました。
診療科別の平均年収比較
皮膚科の平均年収は1,608万円です(※)。全診療科の平均年収は1,596万円なので、平均値よりもやや高い結果となりました。しかし、同じ皮膚科でも、美容皮膚科になると状況はやや異なるようです。美容皮膚科の年収は1,952万円で、医師全体と皮膚科の平均年収を大きく上回ります。
※2020年10月時点のドクタービジョン掲載求人をもとに平均値を出しています
ワークライフバランスを重視する医師に人気な理由
皮膚科医が女性医師に人気のある理由として、勤務時間を短縮しやすくワークライフバランスを考えた働き方ができることが挙げられます。
さきほども参照した『勤務医の就労実態と意識に関する調査』のなかで、一週間あたりの労働時間について調査した結果、医師全体の平均時間46.6時間に対して、眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科の平均は44.3時間でした。一週間あたりの労働時間が20時間未満とする回答が13.8%、最も多いのは40〜50時間の32.1%です。労働時間をかなり抑えている医師がいることがわかります。
しかし、反対に一週間あたりの労働時間は80時間を超えるとの回答も3.8%あります。このことから、眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科では、仕事とプライベートをきっちり分けられる職場とそうでない職場が存在することが伺えるのではないでしょうか。
もちろんデメリットもあります。労働時間が低く抑えられるのはメリットである反面、仕事への満足度と給与面にも影響を与えます。給与・賃金の額に対する満足度は、眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科では、満足していると回答したのは9%にとどまりました。不満とする回答は20.5%、少し不満は20.7%ですので、現在勤めている職場に対してそれなりに思うところがありそうです。
このように、皮膚科医の職場環境はワークライフバランスと重視したオンオフを両立しやすい環境と、労働時間が長く第一線で働くことを求められる環境の二極化が進んでいるといえるでしょう。
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皮膚科で開業を目指す際のポイント
皮膚科医になりたい方のなかには、将来独立することを視野に入れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。開業する際には以下のポイントがあります。
立地条件
クリニックの開設エリアを選ぶにあたり、競合となる医療機関の存在はもちろんですが、それ以外にもビッグターミナルからのアクセスがいい、最寄り駅から近いなど、受診希望者がアクセスしやすい立地条件は非常に重要な要素になります。とくに複数回受診する場合は、学校や仕事帰りに立ち寄ることも想像できるため、患者さん目線を意識するようにしましょう。
得意分野をつくる
診療分野や治療内容で得意なジャンルをつくっておくようにしましょう。なんでも診るスタンスももちろん重要ですが、保険診療は診療報酬額が決まっています。自由診療関連の知識と技術を身につけておくと、開業医になってからの収入アップにもつながります。患者さまは、医師の経歴や得意分野などをホームページで調べてから通院先を決めるため、各種専門医資格を取得してアピールできるようにすることも念頭に入れておきましょう。
ほかにも、皮膚科とも関連する形成外科やアレルギー科にも対応できるようになるのも高いポイントとなります。
設備投資
提供できる治療の選択肢を増やすための設備投資と、診療業務をより簡便にするための設備投資があります。いずれも高額なためかなりの負担にはなりますが、診療を進めるためには欠かせないものです。
提供できる治療の選択肢を増やすための設備投資ではありますが、皮膚科診療ではレントゲンやCTなど大規模かつ高額な検査機器は不要です。そのぶん、イオン導入器や各種レーザーやピーリングなど、一般的な皮膚科診療では使用しない医療機器への投資が必要になります。
とくに美容皮膚科を標榜する場合には、重症度の異なるニキビやニキビ跡、しみ、しわ、ほくろ、いぼの除去を相談されることも多いです。内服薬による治療やドクターズコスメを案内することで対応できるケースもありますが、患者さんはより設備が充実した先を選びますので、医療機器への投資が重要になるのです。
診療業務をより簡便にするための設備投資としては、電子カルテやWeb予約システムの導入があります。カルテなどの患者情報を電子カルテ上で管理することで、担当者間での情報共有がスムーズになり、診療業務の効率化が可能です。予約システムがあると、待ち時間と混雑状況を把握しやすくなり、患者さま側としても好きなタイミングで診療予約を取ることができるので、双方にとってメリットがあります。
年収を上げたいなら転職コンサルタントへの相談もおすすめ
皮膚科医の年収アップの方法はいくつか考えられます。
1つ目は、皮膚科を標榜する総合病院への転職です。時間外労働・日当直・オンコール対応をバリバリこなすことになるので、きつい労働環境ではあります。しかし、診療経験を多数積めることから、スキルアップにもつながります。
2つ目は、倍率の高い都心部を避けて、地方都市での就職を視野に入れることです。地方に行くほど給与を含めた待遇がよくなる傾向があるので、生活環境などを考慮しながら検討するのがおすすめです。
3つ目は、専門性の高い知識と手技を身につけることです。専門医などの資格を取得することで給与のベースアップ、美容皮膚科を標榜する医療機関へ転職して美容系に特化したスキルを習得する方法もあります。
年収アップのため転職を視野に入れている方は、転職コンサルタントに相談することをおすすめします。転職コンサルタントは医師年数、診療科、スキル、勤務条件などから、能力やキャリアに見合った職場を紹介します。日程調整や条件面での交渉などもコンサルタントが担当しますので、日常業務が忙しくても効率的に転職活動を進めることができます。
ドクタービジョン編集部
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