精神科医はきつい?リアルな声から職場選びのコツや気を付けたいポイントを紐解く

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公開日:2021.10.28

精神科医はきつい?リアルな声から職場選びのコツや気を付けたいポイントを紐解く

精神科医はきつい?リアルな声から職場選びのコツや気を付けたいポイントを紐解く

精神疾患や精神障害、神経症を主とした心や脳の病についての診断と治療を専門的に行う精神科医。

患者さまの数だけ症状と向き合う必要があり、同時に人と深く向き合う場面が多くなる診療科です。

では、精神科の現場で働く医師の方々は何を感じ、どのように働いているのでしょうか。

ここでは、精神科医の特徴や、職場選びの参考となるような現場のリアルな声についてご紹介します。

精神科医の特徴

精神科医の特徴

精神科医は、精神疾患や精神障害、神経症などの診断と治療を専門的に行う医師です。

患者さまと接するうえでは心理学や精神病理学などの専門知識だけでなく、会話内容や挙動などから状態を分析する能力や、分析に応じて適切なコミュニケーションを図る能力なども求められるでしょう

治療対象は統合失調症やうつ病などが代表的ですが、近年では認知症や依存症、発達障害なども範囲に含まれるようになり、幅広い精神療法や薬物療法の知識が必要です。

また、内科を主とした他科との連携をはじめとして、精神保健福祉士、地域の社会福祉関係者、患者さまのご家族など様々な方の協力が治療に不可欠となります。

厚生労働省が定期的に実施する患者調査によると、精神疾患の患者数は年々増加傾向にあり、精神科医の需要は比較的高いと言えます。

特筆すべきは、法律に基づいて患者さまを強制入院させる権限をもった「精神保健指定医」制度の存在です。

精神保健指定医は厚生労働省指定の国家資格であり、精神科の医療機関に資格取得者の配置が義務付けられているほど重要な位置づけとなります

指定医の取得にはいくつかの条件がありますが、より重宝される人材となる可能性が高いため、今後精神科医としてのキャリアアップを目指す方は取得すると良いでしょう。

精神科医のリアルな声

精神科医のリアルな声

現在精神科医として活躍されている医師の方々は、現場でどのようなことを感じながら働いているのでしょうか。

ドクタービジョンでは実際の医師数名の声をヒアリングしましたので、精神科医として良いと思うところや問題と感じている点について以下3点ご紹介します。

医局では大学のサポートがないと指定医の資格が取得しづらい(精神科単科病院、50代)

とある医局に所属するこの方は、医局からのサポートがなかなか受けられず、精神保健指定医の取得に必要な症例が不足しているとのことです。

一方日々の診療や治療を行う中で、コミュニケーションが難しい患者さまと心が通う瞬間の喜びをやりがいとし精神科医を続けています。

指定医を取得するには、厚生労働大臣指定の精神障害について経験症例があることや、省令規定の研修過程を終了していることなどの条件をクリアしなければなりません

指定医の取得をお考えの方は、取得に対して協力的であったり、研修制度が整っている病院を選ぶことが望ましいでしょう。

指定医の資格がないと精神科としての業務に注力できない(急性期病院、40代)

こちらは、急性期病院にて内科的な業務や診断などの対応と精神科の医療業務を掛け持ちしている方の声です。

この方はもともと精神科医を志して医師になり、症状の原因特定や病名の判断が難しい精神科だからこそのやりがいに魅力を感じられています。しかし、精神保健指定医を取得できていないために、内科業務がメインとなっており、歯がゆさを感じているそうです。

急性期などの総合病院で働く場合、指定医の取得は精神科業務に注力するうえで非常に重要となります。資格取得後のキャリアとしての選択肢として検討しても良いでしょう。

指定医を取得していないとしても、職場は病院以外にも訪問治療(在宅治療)専門のクリニックや老人介護施設、精神保健福祉センターなどの公的機関など様々であり、精神科医の活躍の場は多く存在します。

看取り業務も多く体力的な負担が大きい(精神科病院、40代)

地方の精神科病院で高齢者医療(老年精神科)を中心に担当しているこの方は、身体面・精神面の双方からこれまで多くの患者さまを診てこられました。

その経験の中で、看取り業務など体力的にも、精神的にも負担が多いと感じることがあるそうです。

しかし、精神疾患以外にも慢性疾患や整形外科疾患、呼吸器疾患などをより多く学ぶ必要があると考えるようになり、自身の知見や能力を高めたいという気持ちが強くなったとのことです。

業務中の自身の負担について考える場合、職場となる医療機関体制を確認した方が良いでしょう。

たとえば、搬送先となる外部の協力医療機関や、内部の指定医数・指導医数などが挙げられます。困ったときに助けを要請できるような環境に身を置くことも大切です。

精神科は医師需要の高さと奥深さが魅力の診療科

精神科は医師需要の高さと奥深さが魅力の診療科

精神科は心(脳)に関する病を扱うため、厳密に言えば患者さまの数だけ診療や治療のやり方は変わってきます。

それは精神科医療の奥深さや患者さまとのラポール(心が通い合う関係)形成の重要性を意味しており、同時にやりがいのある診療科であると捉えることもできるでしょう。

精神科は現在医師の需要が高く、活躍できる場所も幅広く存在します。精神科医の方で転職をお考えの方はより良い条件を求めやすく、精神科への転科も検討しやすい診療科ではないでしょうか。

ただし、職場選びの際は指定医取得を奨励する環境かどうか、患者さまの対応に応えられる体制が整っているか、など自身が希望する働き方ができるか事前に確認すると良いでしょう。

ドクタービジョン編集部

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