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第一線で活躍する女性医師の数は増加傾向にあります。しかし実際には、仕事とプライベートの両立は難しいと考える女性医師が多いようで、家庭をもちながら働こうにも世間からの風当たりは未だ厳しいといった苦労話も聞こえてくることもあります。
そこで本記事では、これから医師を目指す女性、すでに女性医師として活躍されていてキャリアプランを見つめ直したい方に向けて、仕事内容や働きやすさなどの観点からおすすめの診療科と転職する際に注目したいポイントをご紹介します。
女性医師の働き方でよくある悩みとは?
まずは女性医師の方々が抱えやすい悩みについてご紹介します。
家事や育児との両立が難しい
女性医師におすすめの診療科をご紹介する前に、現役の女性医師はどのような仕事の悩みを抱えているのか確認しましょう。
女性医師の悩みで真っ先に上がるのが、自身の仕事と家事・育児の両立がいかに難しいかということです。患者さまを任されるようになると、多くの医師が仕事最優先の生活になります。そのため、結婚や入籍、妊娠して出産を間近に控えたタイミングで、自身のキャリアに区切りをつける女性医師は多いようです。退職を選択せず、産前産後休暇と育児休業で対応することももちろん可能です。しかし、医療機関では休職期間中のマンパワーを確保するために非常勤医師を探さなくてはなりません。さらに、時短での職場復帰をしても子どもの都合で突発的な早退や休暇が発生する可能性やワンオペ家事を避けられないような状況を総合的に判断して、退職を選択する場合もあります。
結婚などライフプラン設計が難しい
医学部は6年制のため、研修医になるのは早くても24歳です。診療科を選択して業務に慣れる頃には30歳目前、専門医などを取得したら40歳を迎えていたという話もあるようです。
子どもが欲しいと考えている女性医師の場合、妊娠や出産の時期を考える必要もあります。結果的に、医局や職場に在籍する先輩女性医師の話や働き方を参考にして、その後のキャリアを検討する人が多いです。
休みが少なくワークライフバランスが取れない
医療機関や診療科によっては、夜勤や当直を任されます。研修医や若手医師は体力があることに加えて、より多くの診療経験を積ませるためという理由で優先的にシフトを入れられがちです。当日の状況次第では当直を終えてそのまま日勤となることもあり、体力的に厳しいのは確かでしょう。また、オンコール担当になると、自宅待機中に出勤要請があれば職場に向かわなくてはなりません。
入院患者さまを任されるようになると、毎日の回診以外にも術後のチェックや時間を問わない急変時の対応が発生します。そのため、名目上は休日でも実際には職場に顔を出している医師も多いです。
女性医師におすすめの診療科
前述の悩みを抱える傾向にある、女性医師におすすめする4つの診療科について解説します。
皮膚科
厚生労働省がまとめた『令和2年(2020年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況』に掲載されている『主たる診療科別にみた医療施設に従事する医師及び平均年齢』を見ると、女性医師の総数のうち皮膚科に属しているのは6.7%で、高めの水準です。
皮膚科は手術自体が少ない診療科の一つです。手術が発生したとしても、日帰り対応がほとんどです。入院患者さまを受けもつ機会もほかの診療科と比較して少ないです。当直や夜勤を免除している医療機関が多く、定時上がりや休暇取得しやすいことも大きな理由でしょう。
ただし、皮膚科医の平均年収は医師全体よりも低い傾向にあるため、年収が下がる可能性も視野に入れておきましょう。
また、クリニックなどでは非常勤医師の需要があります。子どもの成長に合わせてパートタイム勤務できるうえ、仕事と家庭の両立を目指す同僚も多いことから、職場の理解を得やすいのも魅力です。
こちらも雇用形態を変えたことで年収が下がる可能性があるでしょう。
眼科
厚生労働省の同資料によると、女性医師の総数のうち眼科に属している割合は7.2%と皮膚科よりも多い割合となっています。また、眼科は皮膚科と同様、急患が多くありません。
日本医師会男女共同参画委員会日本医師会女性医師支援センターがまとめた『女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書』によると、1週間あたりの労働時間が48時間以内に収まっている割合は72%と、精神科の81%に次いで高い水準にあります。
ワークライフバランスを取りやすいため、ほかの診療科よりも比較的仕事とプライベートを両立しやすいと言えるでしょう。
麻酔科
麻酔科は医師数が増加傾向にある診療科の一つです。所属する医療機関と人員配置次第では、研修医になってすぐに先輩医師同席のもとで特殊麻酔を経験します。そのため、ほかの診療科よりも、独り立ちが早い傾向にあります。
また、麻酔科医は患者さまと接するのは基本的に周術期であり、主治医となるケースはあまりありません。
さらに、規模の大きい医局や地域の中核病院などでは非常勤を含めて多くの麻酔科医を確保していることから、自分のペースで仕事を回しやすい環境にあるようです。
産婦人科
女性特有の悩みや妊娠・出産に伴う診療をメインに行うため、産婦人科も女性医師からの人気が高い診療科です。体の不調や悩みを理解してもらうため、あえて女性医師が在籍する医療機関を探して受診する患者さまも一定数います。
また、女性医師の数が多く、婦人科診療や出産に関わる機会が多い環境であるため、出産や育児を好意的に受け入れる環境が整っています。
なお、分娩や手術を行わない婦人科クリニックや不妊治療専門クリニックは、一般的に当直・オンコール・残業は少ないとされています。
女性医師が転職する際のポイント
最後に、女性医師の方が転職を検討する際に、検討すべきポイントについて解説します。
譲れない条件を決める
現在の働き方や職場環境を見つめ直したうえで転職を検討する場合、まずは自分にとって譲れない条件と優先順位を明確にしましょう。
女性医師として第一線で働きたいなら、専門医や指導医などの資格を何歳までに取得し、医局や職場でどの程度のポジションを目指すのかを定めるとその後の動き方が見えてきます。
仕事と家庭を両立したいのであれば、そのうえでどうしても譲れない部分と譲歩可能な部分をしっかり見極めましょう。
働き方を再検討する際には、転科とあわせて雇用形態の見直しをするのもおすすめです。キャリアを中断させたくない、給与面や福利厚生などの待遇面を変えたくないなら、産休や育休取得後も同じ医局で常勤として復帰を希望する道もあります。反対に、子どもとの時間を多く取りたいならスケジュール調整のしやすさを考慮し、出産後は非常勤として働くことを選択するのもメリットが大きいでしょう。
院内見学をして女性医師と話をする
転職活動を開始して気になる求人案件を見つけたら、医師向け転職サイトを介して院内見学を申し込みましょう。同じ診療科でも、方針や働くスタッフなどの雰囲気は職場次第で異なるものです。
とくに同年代の女性医師が所属している職場なら、話せる機会を作るようにしましょう。同性かつ同年代の相手なので、感じている悩みや不安を共有しやすく、近しい目線からのアドバイスをしてもらえる可能性があります。
転職コンサルタントに相談する
転職活動をしたいと思ったら転職サイトに登録し、コンサルタントの協力をあおぐようにしましょう。
平日の日中は診療業務で忙しいため、転職活動をしようにも思ったように時間を取れない医師が多いです。転職コンサルタントを利用すると求人を紹介してもらえるほか、応募書類のチェックと送付、面接日程の設定など転職活動に関連する事務処理もある程度任せられます。
女性医師ならではの悩みもコンサルタントに相談を
家庭をもちながら女性医師として第一線で働き続けるには、両立しやすい診療科を選択するのが重要だということをご理解いただけたと思います。現在の働き方に悩んでいる方は、転科も含めた転職活動を視野に入れて検討してみると良いでしょう。
転職活動を開始したら、なるべく早い時期にコンサルタントに相談してみるのがおすすめです。転職活動に関する相談に乗ってもらえるだけでなく、プロの視点から過去の転職事例に基づくアドバイスがもらえます。転職活動を一緒に歩む頼もしい味方となるでしょう。
ドクタービジョン編集部
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