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泌尿器科は、腎臓・膀胱・尿道などの泌尿器から男性生殖器の疾患を扱う診療科です。命に関わることは少ないものの生活の質に大きく関わる領域であり、内科から外科まで診療範囲が幅広い特徴があります。男性医師の割合が高い診療科ですが、ワークライフバランスを重視した働き方をしやすく、女性医師も年々増えています。
この記事では、泌尿器科医の年収や働き方、転職時のチェックポイントについてご紹介します。
泌尿器科医の平均年収
泌尿器科医の平均年収は、1,591万円です。都道府県別に見ていくと、東京都は平均に近い1,600万円で、愛媛県、高知県、徳島県、北海道は1,900万円を超える高さでした。一方で、神奈川県、山口県、富山県は1,100万円前後と、地域によって大きな差がありました(※)。
平均年収の地域差は、人工透析が必要な患者さまの数や医師不足などに起因すると考えられます。
泌尿器科において平均年収に男女差は少なく、年齢が上がるにつれて年収は高くなっていきます。年収アップのためとくに需要の高い地方に転職することも選択肢の一つですが、一方で緊急オペが少ない特徴を生かして都市部でアルバイトをして稼ぐことも可能でしょう。
※2020年10月時点のドクタービジョン掲載求人をもとに平均値を算出しています
診療科別の平均年収比較
全診療科の平均年収は1,596万円で、泌尿器科は平均年収よりやや少ない結果でした。診療領域が似ている診療科と比較すると、泌尿器の中でも腎臓を専門的に扱う腎臓内科の平均年収は1,602万円、女性の排尿トラブルも扱う婦人科は1,606万円でした。
平均年収は、救急疾患を扱う診療科や自由診療を扱う医療機関で高くなる傾向があります。泌尿器科のように地域によって平均年収が大きく変わる診療科もあるため、参考程度にするとよいでしょう。
泌尿器科医の仕事内容・働き方
超高齢社会の日本において需要が高い泌尿器科医。その仕事内容や働き方について詳しく見ていきましょう。
泌尿器科医の仕事内容
泌尿器科は主に腎臓、尿管、膀胱、尿道など泌尿器の疾患の診断・治療を専門とします。具体的には、腎がんや腎不全・腎移植、腎炎、腎盂腎炎、膀胱がん、膀胱炎、尿路結石、尿失禁、夜尿症などが挙げられます。排尿トラブルを抱える方は多く、小児から高齢者、性別を問わず幅広い患者さまの診療にあたります。また、前立腺や陰茎など男性生殖器の疾患も泌尿器科の専門です。前立腺がんや前立腺肥大症、精巣捻転、精巣がん、ED、性病、男性不妊、男性のブライダルチェックなどにも対応しています。近年では男性更年期障害を扱うクリニックも登場してきました。
泌尿器科医は、このようにさまざまな部位・疾患を手広く受け持ち、外科・内科の両方の側面からアプローチします。術式はバラエティに富んでおり、腎移植や体外衝撃波結石破砕治療(ESWL)、腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術、ミニマム創内視鏡下手術、膀胱水圧拡張術など、様々な技術を身につけることが可能です。がんに対する新薬の開発も盛んなため、新しい医療にも触れられるでしょう。
診断から薬物療法、手術まで一貫して対応できる点に魅力を感じて泌尿器科を選ぶ医師も多くいます。命に関わる疾患は少ないことから、一人ひとりの患者さまと長く関わり、生活の質の維持・向上のサポートができることもやりがいです。泌尿器や男性生殖器というデリケートな部分を扱うため、細やかな配慮ができる医師は患者さまとの信頼関係を築きやすく重宝されるでしょう。
泌尿器科医の働き方
勤務先にもよりますが、一般的に患者数は他の診療科と比較して少ないうえに、救急疾患は少なく予定手術が大半です。外科でありながらもワークライフバランスが取りやすい診療科で、女性医師も年々増えています。高い専門性が求められる分野で内科から外科手術までこなしたいが、家族との時間やプライベートも充実させたい方や睡眠時間は削りたくない方に向いているでしょう。泌尿器科は内科系の治療に特化したクリニックも多いため、育児中の医師も働きやすいことがポイントです。
また、新型コロナウイルス感染症の影響で患者数が減少した診療科もありますが、泌尿器科はあまり影響を受けていません。転職先やアルバイト先に困るリスクは少ないでしょう。大学病院や国公立病院に勤務する場合は年収が低くなりがちですが、予定の組みやすさを利用して、アルバイトで稼ぎを増やす医師もいます。収入と働きやすさのバランスが良い点も、泌尿器科の魅力です。
転職時のチェックポイント
ここでは、泌尿器科医が転職時におさえておきたいポイントについてご紹介します。
仕事内容
泌尿器科における治療法は大きく分けて、手術か人工透析の2つです。そのため、自身がどちらのスキルを向上させたいか、転職先の仕事内容はどちらが中心となるのか確認しておくことが重要です。手術スキルを磨きたい場合や専門医の取得を目指す場合は、設備が十分に整っている大学病院や規模の大きい総合病院が第一選択になります。泌尿器科医と言っても、がん、男性不妊、尿路結石、人工透析、小児などと専門分野はさらに細かく分かれます。極めたい分野を指導してくれる医師の在籍有無も事前によく調べておきましょう。
年収を重視する場合は、自由診療をメインに扱うクリニックへの転職もおすすめです。包茎手術やED治療、パイプカット手術を扱うメンズクリニックでも泌尿器科医は活躍しています。年収が高いというメリットがあるものの、クリニックによってはAGA治療や脱毛なども扱っており、新たな知識を身につけなければならない場合があるため注意が必要です。
女性の働きやすさ
泌尿器科では女性医師が増えると同時に、労働環境改善に力をいれる医療機関が増えています。出産・育児などのライフイベントを見据えて、常勤でも当直なしや時短勤務が可能な求人を探し、その中から実際に女性医師が勤務している医療機関が狙い目です。復職サポートや病院内託児所の有無も確認しておきましょう。
過活動膀胱や膀胱炎、尿失禁は女性の患者さまがとくに多いため、女性専門と標榜していたり、女性専用病棟があったり、女性限定外来日を設けたりしているクリニックも見られます。同性である女性医師はとくに需要が高く、遠くの地域から通う患者さまもおられます。男性を診る機会は減りますが、女性専門の泌尿器科への転職も選択肢のひとつです。
超高齢社会でより需要が高まる泌尿器科医
泌尿器科は、ほかの診療科と比較すると平均年収は高くはありません。年収にこだわる場合は、年収を高く設定している民間病院やクリニック、自由診療を主に扱うクリニックを選ぶと良いでしょう。
高齢者の割合が世界で最も高い日本では、今後も泌尿器科医のニーズは高まるばかりです。排尿トラブルや尿路結石の治療、人工透析を受ける患者数の増加も予想されています。泌尿器科医は男性が多い傾向ですが、ワークライフバランスを取りやすく女性患者も多いことから、女性泌尿器科医の活躍の場がさらに広がることが期待されます。
ドクタービジョン編集部
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