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脳、脊髄、末梢神経系の疾患のなかで、おもに外科的治療を行う脳神経外科医。脳梗塞やくも膜下出血、頭蓋骨折など、命に関わる疾患に携わることが多い診療科です。当直やオンコールが多く、体力的にも精神的にもハードなイメージのある脳神経外科ですが、平均年収はどれくらいなのでしょうか。
この記事では、脳神経外科医の年収や働き方、転職時のチェックポイントについて詳しく解説していきます。
脳神経外科医の年収分布
年収が高いイメージのある脳神経外科医。実際の年収分布や平均年収について見ていきましょう。
脳神経外科の年収分布を見ていくと、81.6%が年収1,000万円以上という結果が出ています。最も多い年収帯は、1,500〜2,000万円未満で40.8%を占めています。2,000万円以上の年収を得ている脳神経外科医は19.4%と、年齢を問わず高い年収が期待できます(※1)。
また、脳神経外科医の平均年収は1,608万円でした。地域別に見ていくと、秋田県、福島県では2,000万円を超えており、愛媛県、高知県、徳島県、奈良県も1900万円台です(※2)。
脳神経外科は緊急性の高い疾患が多く、高度な専門知識や繊細な手術スキルも求められます。時間外労働も多いことから、地域差は若干あるものの、都市部でも地方でも高い年収を望める診療科です。脳神経外科医の少ない地域であれば、2,000万円以上の求人情報はよく見られます。
コロナ禍で医師全体の収入は減少傾向にありますが、脳神経外科は影響が少なく、経済的に困ることはまずないでしょう。年収をさらに上げるため、常勤に加えてアルバイトを掛け持ちする医師もいます。
※1.独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」2012年
※2.2020年10月時点のドクタービジョン掲載求人をもとに平均値を算出しています
脳神経外科医の仕事内容・働き方について
年収が高い脳神経外科医。ここでは具体的な仕事内容や働き方について説明していきます。
脳神経外科医の仕事内容
脳神経外科医は、脳・脊髄・神経に関する疾患の診断や治療を行います。具体的な疾患には、脳血管障害や脳腫瘍、脊髄空洞症、脊髄腫瘍、頚椎症、てんかん、パーキンソン病、認知症、頭部外傷、三叉神経痛、顔面けいれん、小児の水頭症や二分脊椎などが挙げられます。脳血管障害の予防や早期発見のために、脳ドックや高血圧症の治療も行います。
開頭手術やカテーテル治療の外科手術以外にも、薬物治療や放射線治療、陽子線治療、リハビリテーションなども組み合わせて治療を行います。脳神経外科医が行う脳や脊髄の外科手術には後遺症のリスクが付きまとうため、技術を磨き続ける必要があります。新しい治療法の開発も常に進められているため、知識のアップデートは欠かせないでしょう。
また、脳神経外科では術後にリハビリが必要なケースが多く、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士など、多職種との連携が必要です。患者さまの回復を円滑にサポートするためにも、それぞれの立場に配慮したコミュニケーション能力が求められます。
脳神経外科医の働き方
脳神経外科は患者さまの命やQOLに多大な影響を与える治療が多いため、多忙な診療科とされます。様々な手術経験を積むとなると、勤務先は大学病院やその関連病院に限られるため、医局に所属する医師が多いことも特徴です。
脳神経外科医の1週間あたりの労働時間の平均は「53.3時間」で、54時間の救急科につぐ長さです。オンコールの回数も全診療科の中で最も多く、月に4回以上の割合は36.7%という調査結果もあります(※3)。手術の難易度が高いうえに手術時間が長くなることも多々あるため、年齢を重ねると体力的に限界を感じて、転科を決意する医師もいます。ほかの診療科と比較しても、ワークライフバランスは取りにくいといえるでしょう。
しかし、専門とする疾患によっては予定手術のみで、時間外労働や当直、オンコールが少ないクリニックで働くことも可能です。
※3 独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」2012年
転職時のチェックポイント
脳神経外科医が転職する際におさえたいポイントについて説明します。
当直の有無、オンコール体制
ハードワークになりやすい脳神経外科ですが、自分の体調を崩しては本末転倒です。当直の有無や回数、オンコールの頻度、時間外労働の長さ、休暇の取得状況は必ず確認して、労働強度に対応できそうか検討することが重要です。患者数によっても忙しさは変わってくるため、事前に調べておきましょう。
ワークライフバランスを重視したい場合や体力的・精神的な負担を抑えたい場合は、回復期リハビリテーション病棟や、神経疾患、脳ドックを専門に扱うクリニックに転職するのも一つの方法。手術をしなくてよい求人もあるため、早めに転職活動を始めて情報を手に入れておくことが転職成功のコツです。
専門スキルを磨ける環境
手術経験を豊富に積める環境を探す場合は、大学病院や急性期病院、専門病院が選択肢としてあがってきます。どの術式に注力していて、どのような手術環境があるのかを確認しておきましょう。手術と血管撮影、CTなどを同室で同時に行えるハイブリッド手術室がある医療機関であれば、より精度の高さを追求することが可能です。ただし、手術環境が充実していても医師数が多い病院では、症例が十分に回ってこないケースもあるため注意が必要です。
スキルを伸ばすためには、教育体制が整っているかもポイント。難易度は高いですが、専門医資格を取っておくと転職がスムーズに進みやすくなります。
ほかの職種との連携体制
脳神経外科の仕事はほかの職種との連携が不可欠です。転職の際は、医師以外にも、看護師や放射線技師、理学療法士、作業療法士などのスタッフの雰囲気や連携体制についても、実際に見学に行ったり、転職コンサルタントに確認してもらったりすると入職後のギャップを防ぐことができます。急性期病院であれば、救急科や麻酔科など、他科との連携体制についてもよく確認しておきましょう。
高度な技術で命を救う脳神経外科医
脳神経外科は激務ですが、高度な技術が求められるため平均年収は高く、患者さまの命を救うことができる魅力あふれる診療科です。高齢化によって今後も脳疾患の患者数は増えると予想されており、脳神経外科医の需要は高まる一方です。リハビリテーションを中心に行う医療機関でも脳神経外科医のスキルを活かすことができるため、急性期から慢性期まで活躍の場が多いこともポイントです。
ワークライフバランスを重視したい場合は、当直やオンコール体制についてよく確認することが大切です。転職の際は、年収以外にも自分の高めたいスキルや労働環境も考慮しながら譲れないポイントを整理して、自分にとって満足できるキャリアを構築していきましょう。
ドクタービジョン編集部
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